
「留去」または「溶媒留去」は、化学分野に限らず、工業や農業など、さまざまな分野で行われている重要な操作です。
研究の現場だけでなく、香料の抽出やエッセンシャルオイルの精製など、身近なところにも、留去を通した製品があります。
この記事では、留去がどのような操作なのか、「ろ過」や「還流」とはどう違うのかなどを、簡単に解説していきます。
合わせて、留去をはじめ、蒸留や濃縮に欠かせない「ロータリーエバポレーター」、そしてエッセンシャルオイル抽出で大きな力を発揮する「マイクロ波抽出装置」についても見ていきましょう。
留去とは

まずは、留去がどのような操作なのか、その目的と実行方法を解説します。
合わせて、混同されがちな用語である「ろ過」や「還元」との違いも見ていきましょう。
不要な溶媒を取り除く
複数の物質が混合した液体を加熱し、物質ごとの沸点差を利用して目的の物質を取り出すことを「蒸留」と呼びます。
「留去」は、こうした蒸留の一手法で、基本的には蒸留と同じ意味です。
細かく言うと、不要な溶媒を取り出すことを目的とした蒸留を「留去」と表現する傾向があります。
そのため、広い意味での蒸留と比べて、何らかの物質を精製するという意味合いは薄いです。
留去では、対象となる混合物を加熱し蒸発させることで混合物を分離するため、ここで取り出されるのは、その中でも沸点の低いものとなります。
留去の方法
留去の実行には、沸点差の利用以外にも、共沸や不活性ガスの活用など、複数の方法があります。
蒸留と共通で用いられる方法としては、低圧下で沸点が下がるのを利用して、対象物を低温で蒸発させる、あるいは、不活性ガスを用いて混合物を分離するなどが一般的です。
留去の場合は特に、反応性の低い物質や共沸を用いたり、凍結乾燥を利用したりといった方法があります。
なお、取り除きたい物質がこうした手法に向かないケースでは、「再結晶」や「液液抽出」など、対象物に合わせた手法を採用します。
留去とろ過の違い
留去とろ過では、取り出される物質の性質、そして取り出す方法が異なります。
留去は、混合物に溶解している物質を取り出すのに対し、ろ過は砂利や泥などといった不要性の物質を取り出す操作です。
また、前者は混合物の加熱によって不要物を除きますが、後者はフィルターなどの「ろ過装置」を用いるという違いもあります。
留去と還流の違い
還流は、留去を実行する際の一ステップです。
還流とは、蒸留プロセスの一部で、混合物を加熱することで得られた気体を冷却して、液体に戻す作業を指します。
蒸気を液体に戻す過程では、冷却器や回収装置を持つ「還流装置」が用いられ、より効率の良い蒸留が実現されます。
上記ふたつの用語について違いをまとめると、前者は混合物を分離する手法であるのに対して、後者は蒸留を実行する技術です。
ロータリーエバポレーターについて

現在、留去を実行するうえで重要な装置として「ロータリーエバポレーター」があります。
さまざまな分野で活躍する、留去に欠かせないロータリーエバポレーターについて、機能や用途を解説します。
ロータリーエバポレーターとは
ロータリーエバポレーターは、溶媒留去や濃縮に用いられる機器です。
対象となる物質を入れたフラスコを回転させながら加熱することで、全体の温度にムラがなくなり、また液体の表面積が増すことで、より効率的に留去を実行できます。
さらに、混合物を入れたフラスコ内は減圧されるため、低い沸点で対象物質を蒸発させられます。
ロータリーエバポレーターは、効率的かつ精密な溶媒留去を実現するための重要な装置なのです。
ロータリーエバポレーターにできること
ロータリーエバポレーターが持つ機能について解説します。
まず、ロータリーエバポレーターの主機能は、沸点の差を利用した混合溶媒の分離です。
次に、溶媒の除去や試料の脱水など、溶媒に含まれた成分の濃縮が可能です。
そして、不要物質を蒸発・除去することによる、溶媒の精製ができます。
留去・濃縮・蒸留といった、科学分野で頻繁に行われる操作を効率よく進められるのが、ロータリーエバポレーターの特徴です。
ロータリーエバポレーターの用途
続いて、この装置にどのような用途があるのかを見ていきましょう。
ロータリーエバポレーターは、化学以外にも、工学や農学など、留去・濃縮を必要とする幅広い分野において、欠かせない装置です。
成分の濃縮はもちろん、混合物から溶媒を回収し、別の機会に再利用することができます。
また、香料やエッセンシャルオイルの精製にも用いられます。
植物や果物といった原料から目的の物質を抽出し、成分を濃縮・精製することが可能です。
サンプルの精製や溶媒回収などを効率的にかつ高精度で実行できるため、多くの分野で活用されています。
エッセンシャルオイル精製にはマイクロ波抽出装置が有用!

対象物質の留去、とくにエッセンシャルオイルの精製には、ロータリーエバポレーターをはじめ、さまざまな装置が用いられています。
なかでもマイクロ波抽出装置は、高い抽出精度やコストの低さなど、エッセンシャルオイル精製において大きな強みを持ちます。
ここでは、そんなマイクロ波抽出装置について、機能やメリットについて見ていきましょう。
マイクロ波抽出装置とは
マイクロ波抽出装置は、添加物を使用せず、天然由来の精油や芳香蒸留水を抽出できる装置です。
減圧によって低温で精油を抽出するため、熱に弱い香り成分であっても、精度の高い抽出ができます。
食品の乾燥や濃縮、芳香成分の抽出にも活用されており、食品用途として幅広い応用が可能となります。
エキスや抽出液としてそのまま表示できる点も、大きな利点です。
また、果汁やペーストの低温濃縮にも対応しています。
加えて、マイクロ波抽出装置はオール電化で運用するため、環境に優しいという特徴もあります。
マイクロ波抽出装置のメリット
マイクロ波抽出装置を用いてエッセンシャルオイルを精製することで、さまざまなメリットが得られます。
まずマイクロ波抽出装置は、広く用いられる抽出装置よりも低コストで運用できる点が挙げられます。
一般的にエッセンシャルオイル抽出に用いられるボイラー式水蒸気蒸留装置と比べて、ランニングコストを半分以下にまで削減することが可能です。
マイクロ波抽出装置の導入には、技術的なメリットに加え、税制上の優遇措置という大きな利点があります。
具体的には、本装置を用いることで、日本食品機械工業会が発行する「中小企業等経営強化法の経営力向上設備等に係る生産性向上要件証明書」が取得可能です。
この証明書は、企業のエネルギー効率や作業効率の向上に向けた取り組みが一定基準以上であることを公的に証明するものであり、この取得により固定資産税の軽減などの税制優遇を受けることが可能となります。
参考:https://kanematsu-mwextract.jp
まとめ

「留去」は蒸留と同じく、成分ごとの沸点差を利用して、混合物を分離する手法です。
ただし、留去は不要となった溶媒を除去することを指すため、蒸留や濃縮とは少し意味合いが違います。
また、ろ過は固形物をフィルターで除去すること、還流は蒸留の一プロセスで、留去とは異なる用語です。
留去をはじめとする蒸留・濃縮の工程には、一般的に「ロータリーエバポレーター」という装置が用いられます。
一方、特にエッセンシャルオイルの精製のように、熱による成分劣化を抑えたい留去作業においては、低温抽出の特性を持つマイクロ波抽出装置が大きな力を発揮します。
兼松エンジニアリングでは、高機能・低コストのマイクロ波抽出装置を提供しています。
エッセンシャルオイル抽出においても、多くの実績がある装置です。
マイクロ波抽出装置の導入を検討している方は、ぜひ兼松エンジニアリングまでご相談ください。
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