
規格外野菜は見た目や形、大きさなどが市場の規格に合わないため、通常の流通には乗らない野菜を指します。
環境問題やフードロスの取り組みとして、規格外野菜を活用するビジネスが増えていますが、「規格外野菜を使用するメリットが分からない」「ビジネスに生かしたいけど、具体的な方法が思いつかない」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今記事では
- 規格外野菜とフードロスの関係
- 規格外野菜をビジネスに活用するメリット
- 規格外野菜をビジネスに活用する方法
などについて解説します。
ぜひ最後までご覧ください。
規格外野菜とは?

ここでは、規格外野菜が市場に出回らない理由をはじめとした規格外野菜の基礎知識を解説します。
規格外野菜を有効活用するためにも、正規品との違いなど規格外野菜ならではの特徴を押さえておくとよいでしょう。
規格外野菜の概要
規格外野菜とは、形や大きさ、色などが市場に流通する正規品と大きく離れてしまっている野菜を指します。
従来、規格外野菜は農林水産省の「標準規格」に適合しない野菜を指しましたが、2002年に廃止されて以降は各産地や出荷団体が定めている「自主規格」から外れた野菜を指すようになっています。
なお、現物を確認せずとも全国に流通できるように、米穀や大豆、いんげんなどの一部穀物は農林水産省の「農産物規格」対象となっているので、注意が必要です。
規格外野菜と正規品の違い
規格外野菜と正規品の違いは以下の通りです。
- 正規品よりも大きすぎる、小さすぎる
- 傷がついている
- 色が薄くなっている
- 形がいびつである
正規品との違いは主に形や見た目であり、味自体に問題があるケースはまれです。
しかし、見た目が良くない規格外品は売れ残りやすいため、正規品より安い価格で売られていることが珍しくありません。
規格外野菜が市場に出回らない理由
収穫された野菜のうち、規格外野菜を含む飼料用、自家消費用などの出荷されないものの割合は約14%です。
そもそも規格外野菜の量はそこまで多くなく、あえて手間をかけてまで安い価格で売りに出すよりも廃棄するか肥料に活用した方が効率的であることが市場に出回りにくい理由となっています。
また、規格外野菜が大量に流通してしまうと、正規品が値崩れしてしまう恐れもあります。
産地や出荷団体によっては、規格外野菜の流通量をシビアに取り扱っているケースも珍しくありません。
規格外野菜とフードロスの関係

規格外野菜を効果的に取り扱うためには、フードロス問題を把握することが重要です。
ここでは、規格外野菜とフードロスの関係に関する情報をまとめています。
フードロス問題を考慮した取り組みを実施すると、環境に優しいだけでなく消費者からのイメージアップにもつながります。
規格外野菜がフードロスとなってしまっている割合
農林水産省の調査によると、2022年の野菜の収穫量が1,284万トンであったのに対し、出荷量は1,113万トンでした。収穫量の13%ほどが規格外であることなどを理由に市場に出回っていないことになります。
流通している食品のうち、食べられずに廃棄される食品ロスが年間612万トンあり、これに規格外野菜を合わせると膨大な量の食料品が無駄になっているといえるでしょう。
作物統計調査 作況調査(野菜) 確報 令和4年産野菜生産出荷統計 年次 2022年 | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口
政府のフードロス対策として規格外野菜が注目を集めている
大量のフードロスへの解決策として、規格外野菜の活用が注目されつつあります。
農林水産省が発表した「食品ロスの削減の推進に関する基本的な方針」では、規格外野菜の有効活用が取り入れられており、規格外野菜の取り組みが増えていくと推測できます。
さらに、SDGsにおいても12番目の目標で食品ロスについて触れられているため、日本だけでなく世界的にも規格外野菜を活用する取り組みが増える可能性は高いでしょう。
規格外野菜をビジネスに活用するメリット

規格外野菜には正規品にはない特徴があるため、うまく活用すればビジネスをより有利に展開することが可能です。
ここでは、規格外野菜をビジネスに活用するメリットを3つ解説します。
コストやイメージ戦略など、多種多様なメリットがあるので、食品ビジネスで課題を抱えている方は参考にしてみてください。
原材料費を削減できる
規格外野菜は見た目が悪い代わりに価格が安いので、加工品の原材料として使用すれば原材料費を削減できます。
味に変化がない場合がほとんどなため、加工品もクオリティを落とさずに費用を安くすることが可能です。
イメージアップに活用できる
顧客の環境問題に関する関心は高まり続けているため、規格外野菜を活用してフードロス対策への取り組みを実施していることをアピールできれば、企業や製品のイメージアップにつながります。
規格外野菜を活用することは環境に優しいだけでなく、商品戦略のブランディングとしても有効な取り組みです。
農家と良い関係が築ける
食品に関するビジネスを展開する上で、安定した原材料の供給は必要不可欠です。
そのため、農家と良い関係を築き、安定した原材料の供給を実現させることがビジネスにおいて重要です。
正規品だけでなく規格外野菜も買い取ると、農家が丹精込めて育てた野菜を無駄にせずにすむので、農家と良い関係が築きやすくなります。
さらに、農家との関係を良好な関係を築くと、優先的に野菜を取引させてくれる、安い価格で野菜を取引してもらえる可能性が高くなるなど、さまざまなメリットが期待できます。
規格外野菜をビジネスに活用する方法

ここでは、規格外野菜をビジネスに活用する方法を3つ解説します。
具体的な事例も併せて解説しているので、フードロス対策など自社で環境に良い取り組みを実施したい方は参考にしてみてください。
規格外野菜そのものを販売する
規格外野菜に対する理解が多くの消費者に広まっていることもあり、規格外野菜そのものを販売する取り組みが増えつつあります。
ECサイトや道の駅など、オンライン・リアル関係なく販売している場所が増加しており、今後もさまざまな媒体や場所で規格外野菜が販売されるようになると推測できます。
食料品の原材料として使用する
規格外野菜をシート状に加工した「ベジート」や、お酒の原料として使用するなど、食料品の原料として使用する企業が増加しています。
加工品の原料として安価な規格外野菜を利用するとデメリットである見た目の悪さも克服できるので、規格外野菜のビジネスとして最も取り入れやすい方法です。
日用品の原材料として使用する
加工技術が発展していることもあり、本物の革製品のような「フルーツレザー」やクレヨンなど、日用品の原材料として使用する企業も出現しています。
高い加工技術が必要になるため、ビジネスを成立させるには専門的な機械や道具を利用する必要があります。
規格外野菜のフードロス対策には「マイクロ波抽出装置」の活用がおすすめ

規格外野菜のフードロス対策には「マイクロ波抽出装置」を活用することをおすすめします。
マイクロ波抽出装置は低温抽出により熱に弱い香り成分も逃さず、高品質な精油や芳香蒸留水を抽出できる装置です。
規格外野菜の鮮度をそのままにエキスを抽出でき、低運転コストで運用可能なため、規格外野菜を原材料とした高品質な製品を効率的に作り出せます。
まとめ

今回は規格外野菜の概要や、ビジネスにおける活用法について解説しました。
規格外野菜を上手に活用すれば原材料費を削減できるだけでなく、フードロスなどの環境問題への取り組みにも対応可能です。
兼松エンジニアリングでは、マイクロ波の急速加熱と減圧技術を利用した抽出装置で、植物原料から香りを逃さず成分を抽出できます。
地域おこしやオリジナル商品の開発ツールとしての実績も豊富なので、興味がある方はこちらから詳細をご覧ください。
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