
野菜や果物の「規格外」とは、市場で定められた色や形、大きさなどの基準を満たさない農産物を指します。
現在日本では、見た目が悪いだけで廃棄される野菜が大量に存在しています。
国内の規格外野菜の年間廃棄量は約200万トンに達すると推定されており、これは全収穫量の約6%にもなるのです。
この記事では、規格外野菜の定義から発生する要因、そして食品ロス削減に向けた活用法や最新技術までを詳しく解説します。
特に注目の「マイクロ波抽出技術」を活用した新たな可能性についてもご紹介しますので、参考にしてください。
規格外野菜とは?

規格外野菜とは、国内市場で定められた規格に適合しない野菜のことです。
色や形、大きさが出荷基準を満たしていないため、一般的な流通ルートには乗らない農産物を指します。
味や栄養価には問題ないにもかかわらず、曲がった形状のきゅうりや表面に傷のついたピーマン、大きさの揃わないトマトなど、見た目だけの理由で市場に流通しない野菜を規格外と呼びます。
規格外野菜が生まれる3つの主な要因

規格外野菜が発生する背景には、以下の三つの要因が絡み合っています。
- 市場規格の基準を満たしていない
- 自然環境の影響で形状やサイズにバラツキがある
- 消費者は見た目の良い野菜を好む傾向がある
以下に詳しい内容を記載しています。
要因1.市場規格の基準を満たしていない
規格外野菜が増える主な要因は、市場で定められた厳格な規格基準にあります。
野菜のサイズや色、形状、品質などについて細かく定められた基準があり、基準に満たない野菜は規格外とみなされます。
市場では通常、品質によってA等級からC等級まで分類され、スーパーなどで販売されているのは、ほとんどがA等級です。
基準を下回った農産物は規格外として扱われ、多くは廃棄されることになります。
また、わずかな見た目の違いでも規格外として扱われることがあります。
要因2. 自然環境の影響で形状やサイズにバラツキがある
農作物は、気温や降水量の変動など、自然環境の影響を大きく受けるため、成長のバラツキが生じるのも要因のひとつです。
例えば、雨が少ない時期には水分不足で野菜が小さくなったり、形状が歪んだりすることがあります。
また、虫食いや病気による傷も規格外の原因となります。
生産者はできるだけ規格に合う野菜を作ろうと努力していますが、自然相手の農業では完全にコントロールすることが難しいのが現状です。
要因3. 消費者は見た目の良い野菜を好む傾向がある
消費者の多くは、見た目の美しい野菜を選ぶ傾向があり、規格外の野菜を敬遠しがちです。
スーパーマーケットで野菜を選ぶとき、多くの人は無意識に形状の整った、傷のない野菜を選びます。
このような消費者の嗜好により、小売店は規格外野菜の仕入れを避け、結果として規格外野菜の需要が低くなる悪循環が生じているのが実情です。
規格外野菜三つの活用法

規格外野菜を有効活用する方法はさまざまあります。
ここでは主な三つの活用法を紹介します。
- ECサイトや直売所を通じて消費者に販売する
- ジュースやスープ、カレーなどに加工する
- マイクロ波抽出技術を用いて、食品以外のものに加工する
それでは、詳しい内容を見ていきましょう。
活用法1. ECサイトや直売所を通じて消費者に販売する
規格外野菜のECサイトや直売所から販売された野菜は、消費者に直接届けられる点が特徴です。
近年、「食べチョク」や「フリフル」など、産地直送で農産物を販売するサイトが次々と生まれています。
このようなECサイトは、中間流通を省くことで、消費者は安価に野菜を購入でき、生産者も廃棄コストを削減できるため、双方にメリットがあります。
さらに、消費者と直接つながることで、農家のファン獲得やPRにもつながる点もメリットです。
活用法2. ジュースやスープ、カレーなどに加工する
規格外野菜の活用で最も一般的なのが、加工食品への利用です。
形状が重要でない加工食品の原料として活用することで、新たな価値を生み出せます。
たとえば、「ベジート」という規格外野菜をペースト状にしてシート加工した食品は、新しい食材としてSNSなどで話題となっています。
このような加工食品は、形が重要でないため規格外野菜の有効活用が可能です。
スムージー、レトルトカレー、冷凍スープなど、規格外野菜のブランド価値を高める新たな市場が創出されています。
活用法3. マイクロ波抽出技術を用いて食品以外のものに加工する
規格外野菜の有用成分を抽出し、食品以外の用途で活用する方法も注目されています。
マイクロ波抽出技術を用いると、規格外野菜から有用成分を効率よく抽出できます。
この技術の大きな特徴は、低温での抽出が可能なことです。
従来型の水蒸気蒸留法と異なり、香り成分を保持しながら、高い栄養価を持つ物質を効率的に抽出できます。
抽出した成分は、健康食品、化粧品、香料、スキンケア製品などの原料として利用可能です。
「マイクロ波抽出技術」による規格外野菜の新たな活用法3選

マイクロ波抽出技術を活用することで、規格外野菜から高品質な成分を抽出し、以下のようなさまざまな製品開発が可能になります。
- 香り製品の開発
- オリジナル飲料の開発
- 無添加調味料の製造
以下で、詳しく説明しましょう。
1. 香り製品の開発
マイクロ波抽出技術によって、規格外野菜からエッセンシャルオイルを抽出し、アロマ製品やフレグランスを開発できます。
この技術は、特に柑橘系果実の芳香物質を完全に捉え、迅速に引き出すことが可能です。
従来の水蒸気蒸留法では失われがちな繊細な香り成分も保持できるため、高品質なアロマオイルやルームフレグランス、香水などの原料として活用できます。
2. オリジナル飲料の開発
マイクロ波抽出技術では、抽出した成分を活用し、健康志向の飲料の開発も可能です。
マイクロ波抽出技術で得られた植物エキスは、添加物を使わずに自然な風味と栄養成分を保持しています。
例えば、規格外の柚子から抽出したエッセンスを使ったプレミアムリキュールや、野菜の栄養をギュッと凝縮した健康ドリンクなど、付加価値の高い商品展開が可能です。
3. 無添加調味料の製造
マイクロ波抽出技術を使えば、野菜エキスを濃縮し、無添加のソースやドレッシングの開発もできます。
マイクロ波抽出技術により、野菜本来の風味や栄養素を損なわずに抽出したエキスは、化学調味料を使わない自然な調味料の原料として最適です。
規格外野菜から抽出したエキスを使用したドレッシングやソース、だしなどは、健康志向の高い消費者に訴求力のある商品となるでしょう。
健康意識の高い消費者向けの新たな商品カテゴリーを創出することが可能です。
兼松エンジニアリングの「マイクロ波抽出技術」を導入するメリット

兼松エンジニアリングのマイクロ波抽出技術には、以下のようなメリットがあります。
- 熱に弱い成分を損なわず、高品質なエキスが得られる
- 従来の方法と比較して、短時間での高効率抽出が可能
- 溶剤を使用しないため、環境にやさしいプロセスを実現
- ランニングコストを削減し、省エネルギーが可能
- フルオート運転で、専門知識がなくても扱いやすい
これらのメリットにより、規格外野菜から高付加価値製品の効率的な生産が可能になります。
抽出装置のご相談は兼松エンジニアリングに!

国内での規格外野菜の廃棄は年間約200万トンに達すると推定され、大きな食品ロスとなっています。
しかし、これらの野菜は味や栄養価に問題がなく、さまざまな方法で活用ができます。
ECサイトや直売所での販売、加工食品への利用、そしてマイクロ波抽出技術による高付加価値製品の開発など、規格外野菜の新たな活用法が広がっています。
特に 兼松エンジニアリング のマイクロ波抽出技術は、規格外野菜から有用成分を効率よく抽出し、食品・健康・美容分野での新たな活用への可能性を広げています。
マイクロ波抽出装置に関するご質問や資料請求は、兼松エンジニアリングまでお気軽にご連絡ください。
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