
ハーブ水(芳香蒸留水)は、植物の香りや有効成分を含んだナチュラルウォーターです。
水蒸気蒸留法によって抽出され、スキンケアやアロマスプレー、入浴剤など幅広い用途に活用されています。
最近では、オーガニック製品や自然派化粧品の需要が高まり、ハーブ水の市場も拡大しています。
精油と比べて刺激が少ないため、赤ちゃんや敏感肌の方でも安心して使用できる点が魅力です。
この記事では、水蒸気蒸留法を用いたハーブ水の作り方や製造工程について詳しく解説します。
事業者の方にとっても役立つ内容となっていますので、ぜひ参考にしてください。
ハーブ水(芳香蒸留水)とは?

ハーブ水と精油は、どちらも植物から得られる芳香成分を含んでいますが、それぞれ異なる性質を持っています。
ハーブ水は水溶性成分が中心で、刺激が少なく使いやすいのが特徴です。
精油は油溶性の成分を濃縮したエッセンスであり、扱いには注意が必要です。
ここでは、ハーブ水の特徴と精油との違いについて詳しく見ていきましょう。
ハーブを水蒸気蒸留法で抽出したナチュラルなウォーター
香りや植物の有効成分を含み、化粧品、ルームスプレー、入浴剤など幅広い用途がある
なぜ今、ハーブ水が注目されているのか?
- 自然派化粧品・オーガニック製品の需要増加
- 精油よりも手軽で、赤ちゃんや敏感肌の人にも使いやすいこと
- 事業としての魅力(市場ニーズ・低コストでの製造が可能であること)
ハーブ水とは?精油との違い

ハーブ水は、水蒸気蒸留によって植物から抽出された水溶性の成分を含む液体です。
植物由来の微量な芳香成分を含み、自然な香りとともに穏やかな作用があります。
ここでは、ハーブ水の特徴を紹介し、精油との違いについても解説します。
ハーブ水の特徴
ハーブ水は、植物に含まれる水溶性の香り成分や有効成分を抽出したものです。
精油よりも成分が穏やかで、マイルドな使い心地が特徴です。
化粧水やルームスプレーとして使われることが多く、精油と比べて肌に優しいため、幅広い年齢層に適しています。
また、蒸留工程で得られる副産物ではなく、独立した製品としての価値があります。
精油との違い
精油は、植物の油溶性成分を高濃度で抽出したエッセンスです。
一方、ハーブ水は水溶性成分が主体となるため、香りが穏やかで刺激が少ないという特徴があります。
また、精油は抽出に多くの植物を必要とするため高価ですが、ハーブ水は比較的低コストで製造できるため、大量生産しやすいというメリットがあります。
ハーブ水の作り方の基本

ハーブ水を作る方法はいくつかありますが、最も一般的なのが水蒸気蒸留法です。
この方法は、植物の香り成分を水蒸気の力で抽出し、冷却して液体に戻す仕組みを利用しています。
化学溶剤を使用しないため、安全性が高く、植物本来の香りや成分を生かした製品を作ることができるのです。
ここでは、水蒸気蒸留法の基本的な流れを解説します。
水蒸気蒸留法とは?
水蒸気の力を利用して、植物の有効成分を抽出する方法です。
具体的には、以下のようなプロセスを経てハーブ水を得ることができます。
- 基本の仕組み
- ハーブを蒸留装置にセットする。
- 水を加熱し、蒸気を発生させる。
- 蒸気がハーブを通過し、芳香成分が抽出される。
- 冷却装置で蒸気を液体化し、ハーブ水と精油を分離する。
なぜ水蒸気蒸留法が優れているのか?
水蒸気蒸留法は、化学溶剤を使わないため安全性が高く、ナチュラルな製品を作るのに適しています。
また、ハーブ本来の香りや成分を生かすことができる点も大きなメリットです。
さらに、圧搾法と異なり、柑橘類を蒸留した場合でも光毒性が発生しないため、スキンケア製品としても安心して使用できると言われています。
ハーブ水の製造工程(具体的な流れ)

ハーブ水を製造するためには、適切な設備を整え、正しい工程を踏むことが重要です。
基本的な流れを理解し、品質の高いハーブ水を作りましょう。
ここでは、製造に必要な設備と、実際の製造プロセスについて詳しく説明します。
必要な設備
ハーブ水を作るためには、専用の蒸留装置が必要です。
また、抽出した液体を適切に処理し、保存するための容器も重要になります。
使用する設備には、冷却装置、分離装置、保存容器(ガラスボトルやアルミボトルが推奨される)などがあります。
製造プロセス
- 原料の準備
フレッシュハーブまたは乾燥ハーブを選び、適切なサイズにカットする。
- 蒸留開始
蒸留装置にハーブと水をセットし、温度を調整して約100℃で蒸留を開始する。
- 冷却・液化
蒸気が冷却装置を通ることで液体化し、ハーブ水と精油が分離する。
- 分離・保存
分液漏斗などを使用してハーブ水と精油を分け、濾過して不純物を取り除く。
適切な保存容器に入れ、冷暗所で保管する。
ハーブ水の用途

ハーブ水は、さまざまな用途で活用できます。
化粧品やスキンケア用品として使用されるほか、リラックス効果のあるアロマスプレーや入浴剤、ヘアケア用品としても利用されています。
化粧水・スキンケア用品
敏感肌の方にも適しており、肌に潤いを与える化粧水として活用できます。
植物ごとに異なる効果を持つため、用途に応じたハーブ水を選ぶことが重要です。
アロマスプレー
部屋にスプレーすることで、リラックスできる香りを楽しむことができます。
枕やシーツに使用すれば、快適な睡眠環境を整えるのにも役立ちます。
入浴剤・バスソーク
バスタブに適量を入れることで、リラックス効果を高めることができます。
ハーブの香りに包まれながら、心地よいバスタイムを楽しむことができます。
ヘアケア用品
頭皮トラブルのケアに、また髪のパサつきを防ぐためのヘアミストとして活用できます。
寝ぐせ直しにも使えるため、朝のスタイリングにも便利です。
注目の技術|マイクロ波を利用した抽出装置

最近では、従来の水蒸気蒸留法に加え、マイクロ波を利用した抽出装置の技術も注目されています。
マイクロ波を利用した抽出装置を利用すると、従来の水蒸気蒸留法に比べ、低温・短時間で精油やハーブ水を抽出できます。
真空環境下で約40℃の低温加熱を行うため、香りや有効成分の劣化を防ぎながら高品質な精油を得ることが可能です。
この技術は、マイクロ波で植物の油胞を直接加熱・破壊することにより、効率よく精油やハーブ水を抽出する仕組みを採用しています。
従来の方法に比べて収率が高く、エネルギー消費を抑えることができる点も大きな利点です。
さらに、抽出後の残渣が乾燥した状態で排出され、これは家畜飼料や堆肥として再利用しやすいため、廃棄物の削減にも貢献します。
マイクロ波を利用した抽出装置の技術は柑橘類の果皮やハーブ、木材など幅広い植物原料に適用でき、食品、化粧品、医薬品業界など多くの分野で活用が進んでいます。
また、従来の水蒸気蒸留法で抽出する場合と比べてエネルギー効率が高く、CO₂排出量の削減にも寄与する環境に優しい技術としても注目されているのです。
持続可能な生産方法を求める企業にとって、導入メリットの大きい抽出装置といえるでしょう。
活用事例
高知県では柚子の果汁が飲料などに利用される一方で、搾汁後に残る果皮が大量に廃棄されていました。
そこで、この廃棄物を有効活用するために、導入されたのがマイクロ波を利用した精油抽出装置です。
従来の水蒸気蒸留法では時間がかかり、温度管理が難しいという課題がありましたが、この装置の新技術を利用して真空環境下で低温加熱することで、香り成分の劣化を防ぎながら効率的に精油を抽出することが可能になりました。
装置の導入によって柚子の果皮から高品質な精油が生産されるようになり、食品香料や香料、化粧品などに活用されています。
また、抽出後の乾燥残渣は家畜の飼料として再利用され、柚子の果皮が資源として循環する仕組みが構築されました。
さらに、この精油を使用したスキンケア製品やアロマミスト、食品などが開発され、消費者の関心を集めています。
こうした取り組みにより、地域資源を最大限に活用しながら、新たな市場が創出されています。
参考 http://kanematsu-mwextract.jp
まとめ

ハーブ水は、ナチュラルな成分を活かした製品であり、スキンケアやアロマテラピーなど幅広い用途に適しています。
正しい製法を理解し活用すれば、高品質なハーブ水を作ることが可能です。
兼松エンジニアリングのマイクロ波抽出装置は、高効率で環境に優しいため、多種多様な植物から高品質な精油を抽出することができます。
マイクロ波抽出装置にご興味がある方は、下記へお気軽にご連絡ください。
<お問い合わせ先>
兼松エンジニアリング株式会社
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