
出荷基準に満たない規格外品の取り扱いに困っている方は多いのではないでしょうか。
規格外品は基本的に廃棄されるため、食品ロスやコスト増加の一因となっています。
本記事ではそんな規格外品の抱える問題や活用事例を紹介します。
廃棄しなくてはならない野菜や果物に悩まされている生産者や企業の方はぜひ参考にしてください。
規格外品とは?

所定の基準を満たさない食品は規格外品と呼ばれ、通常は廃棄対象になります。
基準に合わないものはどうしても発生するため、多くの事業者が対処に悩まされている状況です。
ここからは規格外品について基本的な点を解説します。
サイズや品質などの基準を満たした食品を規格品と呼ぶ
食品を出荷する際のサイズや品質の基準を満たしたものが規格品です。
お菓子などの加工品だけではなく、野菜や果物なども出荷の基準が定められています。
鮮度の良さや形、長さ、重さ、曲がりなど多くの項目について基準を満たしているかどうかが重要になります。
食品に規格が定められている大きな理由は、流通の効率性を高めるためです。
例えば、果物や野菜の形状が通常から大きく外れたものがあるとダンボールに詰めにくくなり、作業効率が低下します。
また、傷のあるものが含まれると腐食が進んでしまうリスクがあるため、トラブルにつながりやすくなります。
規格を定めることが食品の流通を促進させて、食の安全を守ります。
規格品の基準を満たさないものは規格外品と呼ばれる
各食品に定められた規格から外れたものは規格外品と呼ばれます。
食品ごとに定められる規格は市場へ流通させるための基準であり、規格に合わない項目があれば通常の流通ルートに乗せられません。
規格には大きさや品質などの等級が定められており、いずれの等級にも入らないものは処分されます。
規格基準や等級は野菜や果物の種類によって異なり、地域ごとの違いもある点に注意が必要です。
生産者は農産物ごとに細かな基準をチェックして流通できるかどうか判断する必要があり、手間がかかります。
規格外品は市場に出荷されず廃棄される
規格外品をそのまま流通させることは難しいため、基本的には処分されます。
野菜や果物であれば、出荷基準を満たさないと農協(JA)経由での流通が認められず、小売店で扱えないからです。
直売所で扱う場合は、形や色に問題があっても商品になります。
しかし、農家が規格外品を安易に流通させると青果物の市場価格に影響が出るため、無理に流通させないのが通常です。
また、形のバラつきなどの理由から出荷するのに手間がかかり、多くの収益を見込めるわけではありません。
規格外品は商品価値が低いため、処分されているのが現状です。
規格外品に関する問題

規格外品については以下の点が問題視されています。
● 食品ロスの一因になっている
● 原材料費や廃棄コストの増加が企業や農家の経営を圧迫する
以下で、規格外品に関する問題について詳しく解説します。
規格外品の廃棄は食品ロスの一因になっている
規格外品が廃棄されることが食品ロスの一因であると考えられています。
食品ロスはフードロスとも呼ばれ、食べられる食品が捨てられることです。
多くのエネルギーを消費して生産された食品が処分されるのは環境問題につながります。
日本は食料自給率が低い点からも食品ロスへの関心は高まっています。
食べられるのに処分される食品があることは食品ロスを加速させる要因となるため、早急に解決すべき問題として議論されている最中です。
原材料費や廃棄コストの増加が企業や農家の経営を圧迫する
規格外品は売り物にならないため、生産するために消費した種や肥料、農薬、農機などの原材料の費用が無駄になります。
食品加工をする場合は、原材料の仕入れ費用に加え電気代や人件費などの費用がかかり、廃棄するのにもコストがかかります。
廃棄に伴って無駄な費用が恒常的に発生するため、企業や農家の経済的な負担が増える点が問題になっています。
処分しなくてはならない食品が発生するのは、多くの企業や農家にとって重要な課題といえるでしょう。
規格外品の活用が注目されている
規格外品を扱ったビジネス展開には多くの事例があり、注目されています。
処分する予定だったものをビジネスに転用すれば、コストの削減につながり、社会貢献にもなるなど企業や農家にとってメリットがあるからです。
規格外品にはさまざまなビジネスの可能性があるため、検討する価値があります。
ただし、規格外品の事業化は昔から多くの企業や農家が挑戦してきました。
失敗すれば費用ばかりが膨らむリスクがあり、挫折したケースはたくさんあります。
これから規格外品のビジネス化を検討しているならば、さまざまな成功事例を知っておくことが重要です。
規格外品の活用事例

規格外品の主な活用事例を以下にまとめました。
● スーパーやECサイトなどで扱う
● 食品加工に利用する
● フードバンクに寄付する
● 原材料にする
規格外品をビジネスに利用した事例を詳しく紹介します。
規格外品の販売
規格外品をスーパーやECサイトなどで販売する事例が増えてきています。
スーパーやECサイトなどの運営企業にとっては社会貢献につながり、対外的なアピールになる点がメリットです。
また、通常よりも安い価格で仕入れられるため、上手く商品として扱えば大きなビジネスチャンスになります。
企業や農家にとっても、廃棄の手間やコストを省けるためメリットが大きいです。
安く購入できるため消費者にとってもメリットが大きい試みといえます。
規格外品を食品加工に利用する
規格外品を原料とした食品加工に取り組んでいる企業が増えています。
規格外品は安価で仕入れられるため、原料として利用すると大きなメリットがあります。
粉末原料として利用する場合は、野菜や果物の見た目が整っている必要はないため、品質はそれほど問題視されません。
また、粉末原料として用いる場合は他の素材と組み合わせやすく、独自性の高い商品開発が可能です。
規格外品を使った加工食品は環境に優しい商品であるとアピールできて、ブランディングの効果も期待できます。
フードバンクに寄付する
フードバンクに寄付された規格外品は、福祉施設や団体などへ無料で提供されます。
フードバンクへ寄付すると社会貢献活動に参画できるため、企業のブランディングに効果的です。
生産物が捨てられずに社会貢献に利用されることは、従業員のモチベーションアップにもつながります。
食品ロスの削減のために農林水産省はフードバンクの活動を支援しており、広報活動にも積極的です。
日本で行われているフードバンク活動については農林水産省の公式サイトで確認できるため、安心して寄付先を選べます。
地方農政局もフードバンク活動を推進するために独自の取り組みを行っているケースがあるため、調べてみましょう。
原材料として規格外品を活用する
規格外品を原材料として扱い、さまざまな商品開発に利用するケースがあります。
例えば、規格外品を蒸留して精油や芳香蒸留水を抽出する事例が挙げられます。
野菜や果物などを蒸留すると精油や芳香蒸留水を得られ、化粧水や香料、アロマテラピーなどに加工できます。
香り成分を抽出する目的であれば、形や色が悪くても問題はありません。
ただし、野菜や果物の種類によってはデリケートな成分が含まれており、通常の蒸留では問題が生じることがあります。
マイクロ波抽出装置であれば、減圧下で低温蒸留ができて、デリケートな成分を壊さずに抽出可能です。
まとめ

規格外品の廃棄は生産者や企業のコスト増加や環境問題を引き起こす大きな課題です。
現在では規格外品を転用した幅広いビジネスが進められており、国や地方自治体も積極的に支援しています。
例えば、処分する予定の野菜や果物を蒸留すれば精油など価値のある物質を取り出すことが可能です。
環境問題に配慮したビジネスとしてブランディングができて、収益も得られるため、多くのメリットがあります。
規格外品を蒸留して香り成分などを抽出したい場合は、成分を壊さないマイクロ波抽出装置の利用をおすすめします。
マイクロ波抽出装置の利用に興味のある方はいつでも兼松エンジニアリング株式会社までお問い合わせください。
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