
規格外野菜とは、市場で定められた規格に外れた野菜のことです。
見た目こそ通常の野菜とは異なるものの、味や栄養には違いがなく、また価格が安いという特徴を持ちます。
この記事では、規格外野菜の概要や通常の野菜との違い、引き起こす問題やその解決方法などについて解説しています。
規格外野菜の処理や利用に困っている方はぜひ参考にしてください。
規格外野菜とは

規格外野菜とは、市場が定めた出荷規格を満たしていない野菜のことです。
具体的には大きさや形などの規定があり、これに該当しないと規格外野菜に分類されます。
そのため、例えば形がいびつ、大きすぎる、傷がついているといった野菜は、たとえ見た目以外に問題がなくても規格外野菜となり、店頭で販売されずに、畑の肥料として活用されたり、加工食品として販売されたりします。
また、中には廃棄されるケースもあり、フードロスの問題にもつながっています。
規格外野菜が発生する背景
なぜ規格外野菜が発生してしまうのかというと、それは流通の合理化や消費者ニーズなどが影響しているためです。
野菜の規格を定めることで産地に関係なくスーパーの店舗に同じ価格で並べることが可能となります。
本来野菜は自然の中で栽培されるものであるため、形が異なるのは当然といえます。
しかし、スーパーなどの小売店に運ぶ際には箱詰めをする必要があるため、形や大きさの規格を定め梱包や運搬をしやすくしているのです。
また、野菜を取り扱う店舗や消費者は、たとえ味や栄養素に違いがなくても、見た目がいいものを好む傾向にあります。
同じ価格の野菜を見た時、傷がついている野菜よりも綺麗な野菜を選ぶ人が多いのではないでしょうか。
この綺麗なもの、美しいものを好むという消費者のニーズも背景の1つだといえるでしょう。
規格外野菜と通常の野菜の違い
規格外野菜と規格をクリアした通常の野菜はどのような点が異なるのでしょうか。
ここでは以下の違いについて解説しています。
- 見た目
- 価格
- 味・栄養
農産物規格は野菜の見た目に関する規格であるため、見た目に大きな違いがあります。
例えば、規格外野菜は通常の野菜よりも大きかったり、小さかったり、傷がついていたりします。
また、にんじんなどであれば通常のものはまっすぐなのに規格外のものは曲がっているといったケースもあるでしょう。
また、価格も違いがあります。
これは、規格外野菜はその見た目から購入希望者が少なく、手にとってもらうために価格が低くなる傾向にあるためです。
一方で、後述するように、味や栄養素に関しては違いがないため、見た目の悪さを気にしない消費者からの需要は高く、直売所などで低価格で販売されることもあります。
規格外野菜はあくまでもその見た目が規格に適していないために分類されるものであり、味・栄養素に関しては、規格外と正規品で違いはありません。
サイズが大きすぎる、傷がついている等の野菜でも、手を加えたりすることで美味しく食べることができます。
規格外野菜が引き起こす問題

規格外野菜は、フードロス問題につながる恐れがあります。
フードロスとは、食べられるにもかかわらず廃棄されている食料のことです。
例えば、規格外に分類された野菜が活用されることなく廃棄されるケースが当てはまります。
日本国内だけでなく、世界各国ではその日食べる食料の確保すら難しい状況にある人々が多く存在します。
そのような中で、出荷規格に満たしてないという理由だけで他には何も問題ない野菜を廃棄してしまうことが問題であることは容易に理解できます。
また、フードロス問題は、環境問題にも影響を与える可能性があることを覚えておかなければなりません。
これは、廃棄する野菜を運搬するのに排気ガスが排出されるケースがあるほか、焼却することで温室効果ガスを排出するケースがあるためです。
その他にも、通常の野菜よりも低価格で販売することで正規品の価格低下につながり、小売店や生産者が利益を上げにくくなるケースも考えられるでしょう。
規格外野菜に対する意識

規格外野菜はさまざまな問題を引き起こす可能性がありますが、近年ではその問題を解消しようとさまざまな取り組みが行われています。
例えば、農林水産省では「食品ロス削減推進法基本方針」において、規格外野菜の有効活用について言及しています。
また、近年メディアで目にする機会が増えた「SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標))の採択に伴い、日本国内でもエコ意識が高まっており、フードロスなどの無駄をなくそうとする人が増えています。
規格外野菜を減らすためにできること

規格外野菜を減らすためにできることはたくさんあります。
ここでは、具体的にどのような方法があるのか解説します。
どのように処理すればいいか困っている方はぜひ参考にしてください。
規格外野菜として販売する
規格外野菜は、スーパーなどの小売店で通常の野菜と一緒に並べても手にとってもらえる可能性が低いため、あえて規格外野菜であることを打ち出して販売することで購入者が出てくる可能性があります。
先ほども説明しているように、見た目こそ通常の野菜と異なるものの、味や栄養素などに関しては違いがありません。
また、価格が低い傾向にあるため、見た目を気にしない人や価格を重視している人からの需要は十分にあるといえます。
そのため、販売所やECサイトなどで販売することでうまく処理することができるでしょう。
規格外野菜を加工して販売する
加工して販売することで、見た目の問題をクリアできます。
例えばジュースやジャムなどであれば野菜の原型はわからないため、いびつな形や傷などは全く気にならなくなります。
実際に農家の中には、自ら加工して販売しているケースもあります。
フードバンクに提供する
フードバンクとは、食糧を必要としている福祉施設などへ無料で規格外品などを提供することです。
規格外野菜をはじめとして、製造工程で発生した規格外品などをフードバンクに取り組む団体が回収し、各施設へと届けています。
肥料として活用する
規格外野菜を肥料として活用することも可能です。
野菜を畑に残しておき、耕運機で漉き込んだうえで堆肥化することで土壌の肥料として活用できます。
また、肥料として用いる以外にも、牧場に家畜の餌として提供するケースもあります。
他のものに加工する
さまざまな加工品に用いることも可能です。
例えば、乾燥野菜やお菓子、スープの材料などに用いることができます。これらは同じ食べ物に加工されているため、加工品としてもわかりやすいでしょう。
また、食べ物以外のものに加工することも可能です。
例えば、衣料品やクレヨンなどの原料として用いられているケースもあります。
このように、廃棄予定のものを別の製品に生まれ変わらせることをアップサイクルと呼びます。
抽出装置を活用する
品質は通常の野菜と遜色ないため、野菜に含まれている成分を抽出して活用することも可能です。
例えば、兼松エンジニアリングの抽出装置では、柚子の搾汁果皮から精油や芳香蒸留水を抽出し、食品や化粧品香料として利用されています。
また、トマトを低温濃縮してソースに用いたり、オリジナルフレーバー飲料の開発に活用したりとその用途はさまざまです。
以下、兼松エンジニアリングの抽出装置ページです。是非ご覧ください。
http://kanematsu-mwextract.jp
まとめ

今回は規格外野菜の概要や発生する背景、引き起こす問題とその解決方法などについて解説しました。
規格外野菜とは、市場が定めた出荷規格を満たしていない野菜のことです。
形や大きさ、傷の有無など見た目の違いこそありますが、味や栄養素は通常の野菜と変わりありません。
しかし、きれいな野菜を好む人が多いことから、規格外野菜を避ける傾向となりフードロスを助長する要因となっています。
このような問題を解消するためにも、規格外野菜として販売する、加工して販売するなどさまざまな対策が必要不可欠です。
抽出装置の活用も1つの選択肢となるため、ぜひ導入を検討してみてください。
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