
「蒸留酒」という言葉は耳にしたことがあっても、具体的にどのような飲み物か詳しくは知らない方も多いかもしれません。
ウイスキーや焼酎などよく知られている酒類も、実は「蒸留」という特別な技術で作られています。
この記事では、蒸留酒とは何か、その作り方や特性、代表的な種類について詳しく説明します。
また、最新の技術についても紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
蒸留酒とはどんなお酒か

お酒は大きく分けて三つのカテゴリーに分類されます。
それぞれの特徴を簡単に説明しましょう。
醸造酒
発酵酒とは、穀物や果物などを発酵させることで作られる飲み物です。
酵母の働きによって、原料に含まれる糖分がアルコールへと変わり、酒が完成します。
代表的な発酵酒としては、日本酒、ビール、ワインがあります。
これらの酒は、発酵のみで作られ、アルコール度数は比較的低めで、10〜20度程度です。
発酵によって生成された香りや風味がそのまま残るため、素材そのものの味わいを楽しむことができます。
ただし、保存期間が短く、劣化しやすいという点も特徴です。
蒸留酒
蒸留酒は、発酵させた液体を加熱し、アルコール成分を濃縮することで作られる酒類です。
発酵液を加熱することでアルコール成分が気化し、再び液体として集められることで、アルコール度数の高い酒が作られます。
ウイスキー、焼酎、ブランデーなどがこのカテゴリーに含まれるお酒です。蒸留を行うことでアルコール度数が上がり、通常30度以上、場合によっては50度を超えるものもあります。
また、蒸留過程で不純物が取り除かれるため、風味が非常に洗練されます。
糖分がほとんど含まれないため、長期保存にも適しているのも特徴です。
熟成を経ることで、味わいが深まる蒸留酒も多いです。
混成酒
混成酒は、発酵酒や蒸留酒に、その他の成分を加えて作られる飲み物です。
ベースとなる酒に、果物、ハーブ、スパイス、砂糖や香料などを加えて、風味や甘さを調整します。
リキュールや梅酒がその代表例です。
また、カンパリやベネディクティンといった、薬草を使った酒類もあります。
混成酒の最大の特徴は、さまざまな味わいを作り出せる点です。
アルコール度数は使用するベースの酒や加えられる材料によって異なり、低めのものから高めのものまで幅広い種類があります。
カクテルの材料としても多用され、飲みやすいものが多いです。
蒸留酒の特徴

蒸留酒には、以下の3つの大きな特徴があります。
- アルコール度数が高い
- 糖分がほとんど含まれていない
- 長期保存が可能
それぞれを詳しく見ていきましょう。
アルコール度数が高い
蒸留酒の最大の特徴は、そのアルコール度数が高いことです。
ウイスキーやウォッカは一般的に40度以上、焼酎でも20度以上になります。
この高いアルコール度数は、蒸留の過程でアルコール成分が濃縮されるためです。
糖質がほぼゼロ
もう一つの特徴は、糖分がほぼ含まれていないことです。
蒸留酒は、加熱してアルコールのみを取り出す工程があるため、発酵により生成された糖分や炭水化物は残りません。
そのため、低糖質ダイエットや糖質制限を行っている人にも選ばれることが多いです。
長期の品質維持が可能
蒸留酒は、長期間保存しても風味が変わりにくいという特徴を持っています。
適切な環境で保管すれば、何十年も熟成させることが可能で、むしろその過程で風味が豊かになることがあります。
蒸留酒の2つの蒸留方法

蒸留には、大きく分けて「単式蒸留」と「連続式蒸留」の2つの方法があります。
それぞれの特徴を見てみましょう。
単式蒸留
単式蒸留は、一度だけの蒸留で酒を作る方法です。
発酵液を加熱し、蒸気を冷やして液体に戻すことで、アルコールや香り成分を抽出します。
複数回蒸留を行わないため、原料の風味がそのまま残るのが特徴で、素材本来の味わいを楽しむことができます。
焼酎やウイスキー、ブランデーがこの方法で作られる代表的な酒類です。
一方で、アルコール度数はあまり高くならず、製品によっては蒸留後に度数を調整することがあります。
単式蒸留は、伝統的な手法を守りながら独自の風味を楽しむために使われます。
連続式蒸留
連続式蒸留は、大量の酒を効率よく製造するために開発された方法です。
発酵液が連続的に蒸留塔に送り込まれ、加熱と冷却を繰り返すことで、純度の高いアルコールが短時間で得られます。
ジンやウォッカのような、アルコール度数が高く、クリアな味わいの酒類はこの方法で作られます。
また、工業用アルコールの製造にも利用されている製法です。
代表的な蒸留酒

世界中には多くの蒸留酒があります。
その中でも特に代表的なものを紹介します。
焼酎
日本でよく飲まれている蒸留酒の一つで、米、芋、大麦などを原料に作られます。
アルコール度数は20〜25度程度で、軽い口当たりが特徴です。食事と一緒に楽しむことが多い酒です。
ウイスキー
ウイスキーは、大麦やトウモロコシなどを発酵させた後、蒸留し、樽で熟成させて作られます。
スコッチやバーボン、アイリッシュウイスキーなど、地域ごとに異なる特徴を持ち、独自の風味が楽しめます。
ブランデー
ブランデーは、ワインや果実を発酵させ、蒸留することで作られるお酒です。
特にフランスのコニャック地方で生産されるブランデーは、非常に高い品質で知られています。
ウォッカ
ウォッカは、穀物やジャガイモを原料に作られる透明でピュアな蒸留酒です。
特にロシアや東欧で人気があり、アルコール度数は40度以上のものが一般的です。
注目の技術|マイクロ波を利用した抽出装置

最近では、蒸留酒の製造に新しい技術も活用されています。
その一つが、兼松エンジニアリングが提供する「マイクロ波を利用した抽出装置」です。
この装置は、以下のような優れた特徴を持っています。
- 減圧蒸留:真空ポンプでタンク内を減圧することにより、低温での有用成分抽出が可能です。
- 短時間抽出:従来の水蒸気蒸留法に対して抽出効率が良く、生産性が向上するとともに大幅なコスト低減が可能です。
- 高品質:減圧による低温抽出で、香りや風味を逃さない製法。特に芳香成分の抽出に優れています。
- 低運転コスト:従来の方法に比べて、短時間での抽出が可能。また、抽出残渣量が大幅に減少し、運転コストを削減。
- 高機能:タッチパネルによるフルオート運転で、簡単に操作でき、蒸留酒の製造にも対応。
- 環境にやさしい:オール電化で、CO2を排出しないエコフレンドリーな装置です。
兼松エンジニアリングのマイクロ波抽出装置は、原料から有用成分を効率よく抽出できるため新たな可能性を広げています。
お客様のニーズに合わせた設計にも対応できます。
この装置の大きな特徴は、低温での抽出が可能であることです。
そのため、従来の水蒸気蒸留法と比較して、芳香成分や風味を損なわずにアルコール成分を取り出せます。
特に柑橘類などの香り成分を逃さず、短時間で抽出可能です。
また、圧搾を行わず溶剤も使わないため、食品用としても安心して使用できます。
さらに、マイクロ波を利用して均一に熱を加えられるため、抽出環境を一定に保ちながら品質の高い製品を生み出せる点も有効なポイントです。
独自技術によりマイクロ波エネルギーの99%が熱エネルギーに変換される高効率な抽出法です。
目的に応じて下記の3通りの抽出法を活用できます。
- 還流式:柑橘類などの精油抽出に特化した抽出法です
- 分留式:精油だけでなく、まとまった量の芳香蒸留水を抽出できます
- 直流式:芳香蒸留水の抽出、アルコール蒸留、果汁やペーストの濃縮など
兼松エンジニアリングの抽出技術が持つこれらの特性を活かして、トマトを低温濃縮したソースなどの調味料の開発や、オリジナルフレーバー飲料を開発するのに利用されるなど、多様で豊富な実績をあげています。
詳細については、こちらのページをご覧ください。
まとめ

蒸留酒は、その高いアルコール度数や糖質ゼロ、長期保存が可能という特徴から、世界中で人気があります。
また、製法によって風味や香りも異なり、さまざまな種類が楽しめます。
減圧蒸留時のアルコールの温度コントロールは難しいとされていますが、マイクロ波を利用した抽出装置であれば、希望の温度による蒸留回収が可能です。
新たな技術を用いた蒸留酒の製造をお考えなら、ぜひ兼松エンジニアリング株式会社にお問い合わせください。
豊富な経験と専門知識を持つ当社の技術チームが、お客様のニーズに合ったご提案をさせていただきます。
ご質問や詳細な情報については、お気軽にご連絡ください。
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