
私たちが普段使っている水には、さまざまな物質が含まれています。
しかし、特定の用途では、不純な物質が含まれない水が必要となることがあります。
そんなときに利用されるのが「蒸留水」です。
本記事では、蒸留水の特徴や作り方、用途について詳しく解説し、近年注目を集めている芳香蒸留水や最新の蒸留技術についても紹介します。
蒸留水とは

蒸留水は、水を熱して蒸発させた後に冷却することで得られる純粋な水です。
そのため、医療や工業などの用途で広く活用されています。
蒸留水とは精製水の一種
蒸留水とは、水に熱を加えて蒸発させた後、その水蒸気を冷やして得られる純水のことです。
水の中に含まれているミネラル、細菌、ウイルス、化学物質などの物質はほぼ完全に取り除かれます。
蒸留水は「精製水」の一種に分類され、特に純度が高い水として認識されています。
また、蒸留の過程では水以外の成分が取り除かれるため、得られる水は無味無臭です。
この特性から、化学実験や精密機器の冷却水、バッテリーの補充液など、幅広い用途に適しています。
精製水とは
精製水とは、水に含まれている不純物を排除して作られた純度が高い水の総称です。
精製水にはいくつかの種類があり、それぞれ異なる方法で生成されます。
蒸留水 | 加熱・蒸発・冷却のプロセスを経て、不純物を取り除きます。 最もシンプルな方法で精製され、昔から利用されています。 |
RO水 (逆浸透膜水) | 逆浸透膜(RO膜)を利用し、水分子以外の不純物をろ過して取り除きます。 家庭用浄水器や工業用の浄水設備で広く使用されています。 |
イオン交換水 | イオン交換樹脂を使用し、水中のミネラル成分を取り除くことで純度を高めます。 主に化学や医療の目的で利用されます。 |
超純水 | 複数の精製方法を組み合わせ、不純物を極限まで除去します。 半導体製造や製薬業界など、極めて高純度な水が必要な場面で使用されます。 |
蒸留水は最もシンプルな精製方法によって作られるため、古くから医療や工業の領域で活用されてきました。
特に、医療分野では注射用の溶媒や消毒水、薬品の調製に用いられることが多く、工業分野では電子部品の洗浄水や機械の冷却液としても活用されています。
蒸留水の特徴

蒸留水には、以下のような特徴があります。
● 不純物がほとんど含まれない
● 味がない
● 長期保存が可能
● 電気を通しにくい
これらの特性を持つため、さまざまな用途に適しています。
不純物がほとんど含まれない
蒸留によってミネラル、細菌、ウイルス、化学物質のほとんどが除去可能です。
この特性から、医療や工業分野で広く活用されています。
味がない
ミネラル分がほぼ含まれていないので、味にクセがないことが特徴です。
これにより、特定の用途に適した水として活用されています。
一方で、ミネラルが取り除かれているため、飲用水には適さない場合があります。
長期保存が可能
不純な物質が含まれていないため腐敗しにくく、適切に保存すれば長期間使用できます。
特に、密閉容器に入れて保存すると品質が保たれます。
蒸留水は化学反応を起こしにくいため、化学実験施設や医療機関で長期間ストックされることが多いです。
電気を通しにくい
純水に近いため、電気伝導率が低く、電子機器の冷却水やバッテリー補充液に適しています。
特に、半導体を製造する際の洗浄水や研究に必要な電気的実験用の水として使用されることが多く、微細な導電性の違いが影響を与える精密機器の製造にも活用されています。
蒸留水の作り方

蒸留水は、水を加熱して蒸発させ、その蒸気を冷却するシンプルな仕組みで作ることが可能です。
大量に製造する場合は専用の蒸留装置が必要となります。
特に医療や工業用途では、一貫した品質を確保するために高性能な装置が導入されています。
加熱と冷却による蒸留
蒸留水を作る基本的な方法は、水を熱して蒸発させ、その蒸気を冷まして液体に戻すというシンプルなものです。
これにより、水分子だけを取り出し、不純な物質を除去できます。
ただし、この方法は長時間の加熱を必要とし、効率が悪いため、大量に作る場合は専用の装置が必要です。
専用の蒸留装置を使用
工業や医療の用途では、大量の蒸留水を効率的に製造できる専用の蒸留装置が使用されます。
これらの装置では、連続的に水を蒸発・冷却するシステムを備え、安定した品質の蒸留水を継続的に供給できます。
特に医療の領域では、無菌状態の維持が求められるため、高度なろ過装置や殺菌機能を備えた装置が使用されることが一般的です。
蒸留水の用途

蒸留水は、医療、工業、美容、食品など、さまざまな分野で活用されています。
その高純度な特性が、多岐にわたる用途を可能にしています。
ここでは、蒸留水が実際に活用されている主な分野を、具体的に紹介しましょう。
医療・薬品分野
注射用水や試薬の調製など、高い純度が要求される際に使用されます。
無菌環境が求められる場面では、蒸留水が不可欠です。
工業分野
電子部品の洗浄、精密機器の冷却、バッテリーの電解液補充など、高純度の水が求められる場面で活用されます。
美容・スキンケア分野
化粧品の基材や、敏感肌向けのミストとして活用されることが増えています。
刺激が少なく、安全性が高いため、ナチュラルコスメにも適しています。
研究・実験分野
理化学研究や分析など、化学反応に影響を与えない純水として、広く活用されています。
食品・飲料分野
クセのない味を生かし、特定の飲料や食品を作る際に使用されることがあります。
ただし、ミネラル分がほぼ含まれていないので、常用の飲用水には適しません。
今注目されている芳香蒸留水(ハーブ水)とは

芳香蒸留水(ハーブ水)とは、植物を蒸留する際に得られる副産物としての水のことです。
近年の自然志向から、さまざまな方面で注目されています。
ここでは、芳香蒸留水(ハーブ水)の特徴を、具体的に紹介しましょう。
芳香蒸留水の特徴
芳香蒸留水(ハーブ水)は、植物を蒸留する際に副産物として発生する水です。
エッセンシャルオイルの抽出時に生成されるため、植物の香りや成分が微量に含まれています。
芳香蒸留水(ハーブ水)の特徴は以下のとおりです。
天然の香り | 植物本来の香りがほのかに残り、リラックス効果が期待できる。 |
低刺激 | エッセンシャルオイルよりも成分が薄く、敏感肌の人にも適している。 |
美容・健康に 利用可能 | 化粧水やルームスプレー、アロマミストとして使用される。 |
食品や飲料にも 活用可能 | ハーブウォーターとしてお茶や料理に取り入れられることもある。 |
注目の技術|マイクロ波を利用した抽出装置

蒸留技術が進化し、マイクロ波を利用した抽出装置が開発されました。
従来の蒸留方法に比べ、より効率的かつ環境負荷が少ない方法で蒸留水を作ることができるため、注目を集めています。
ここでは、マイクロ波を利用した抽出装置について紹介しましょう。
<マイクロ波抽出装置の特徴>
マイクロ波抽出装置を利用すると、従来の蒸留方法で抽出する場合に比べてエネルギー効率が高く、短時間で高品質な蒸留水を作ることが可能です。
マイクロ波抽出装置には以下のような特徴があります。
高品質 | 低温での抽出が可能であるため、植物の香りや有効成分を損なわずに精油や芳香蒸留水を得ることができる。 |
低運転コスト | マイクロ波を利用することでエネルギーコストが削減できる。 |
高機能 | 短時間で効率的に蒸留できるため、生産性が向上する |
環境にやさしい | 従来の蒸留方法で抽出する場合に比べてエネルギー消費が少なく、環境負荷を軽減できる。 |
兼松エンジニアリングが提供するマイクロ波抽出装置は、原料から有用成分を効率よく抽出できるため、さまざまな領域で新たな可能性を広げています。
参考 https://kanematsu-mwextract.jp
まとめ

蒸留水は、不純物を排除した高純度の水であり、医療や工業、美容など多くの分野で活用されています。
また、近年ではマイクロ波加熱を用いた抽出技術の発展により、より効率的で環境に優しい蒸留技術が確立されました。
こうした技術の進化により、蒸留水の利用価値は今後も広がっていくでしょう。
マイクロ波抽出装置にご興味がある方は、下記へお気軽にご連絡ください。
<お問い合わせ先>
兼松エンジニアリング株式会社
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