
見た目が悪いだけで、味や品質に問題のない野菜が大量に廃棄されていることをご存じでしょうか。
市場に出回らない規格外野菜は、実は年間百万トン規模で捨てられているとされ、近年では、こうしたロスを減らしながら新たなビジネスに活かす動きが広がっています。
本記事では、規格外野菜の定義や活用方法、その可能性について詳しく解説します。
新たなビジネスチャンスを見つけましょう!
規格外野菜とは?

規格外野菜とは、各都道府県や産地が定めた「農産物規格」に適合しなかった野菜のことを指します。
「農産物規格」にはサイズ・形・傷の有無などの項目がありますが、品質や味は項目に含まれていません。
そのため、味や栄養価に問題がなくとも、規格外とされた野菜の多くが廃棄されています。
なぜ規格が存在するのか?
野菜の規格が存在する理由は、流通や販売の効率を高めるためです。
形や大きさが揃っていることで梱包がしやすくなり、運搬時の積み重ねも安定します。
その結果、輸送中の摩擦による傷みや劣化を防げます。
スーパーや市場では、統一感のある見栄えを保ち、適正な価格設定を行うためにも規格が必要です。
こうした基準があるからこそ、安定的な供給が可能になるため、規格外野菜が生まれるのも自然な結果といえるでしょう。
規格外野菜の年間廃棄量はどれくらい?

2023年の『作況調査』によれば、令和5年産の収穫量が約1,263万トンなのに対し、出荷量は約1,100万トンなので、約163万トンの野菜が市場に出回っていない計算になります。
もしこの未活用の野菜資源を有効に活かすことができれば、大きなビジネスチャンスにもなり得ます。
規格外野菜による食品ロスとSDGsとの関係

規格外野菜による食品ロスの削減は、SDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」に深く関わってきます。
その中で食品ロスに該当する行動目標も掲げられており、その概要は以下の通りです。
- 2030年までに、お店や消費者のところで廃棄される一人当たりの食料の量を半減する
- 食料が収穫から消費されるまでの間の食品ロスも減らす。
現在、SDGsはビジネス上の戦略で必要不可欠な要素になっています。
規格外野菜を活用することは社会貢献やブランディングにつながり、新たなビジネスチャンスを創出します。
規格外野菜による食品ロスを減らす方法

規格外野菜を廃棄するにもコストが発生するため、何かしらの対策を立てなければなりません。
そのため、販売や加工食品としての利用、フードバンクへの寄付、さらに食品以外の製品にアップサイクルするなど、さまざまな活用方法を検討する必要があります。
それぞれの具体的な取り組みについて詳しく解説していきます。
方法1.規格外野菜を販売する
近年、スーパーやオンラインショップで規格外野菜の販売が広がりを見せています。
見た目に難があっても品質や味に問題はなく、通常品より安く購入できるため一定の需要があることが理由です。
ECサイトや売り場を設けるだけで比較的簡単に販売を始められ、初期コストも抑えられます。
ShopifyやBASEといったツールの普及により参入ハードルも低く、また、SNSを活用すれば低コストで集客も可能です。
農家にとって新たな収益源にもなります。
方法2.加工して販売する
規格外野菜を加工し、新たな商品として流通させる取り組みも広がっています。
例えば、ジュースやスムージー、ドライフード、ピクルス、リキュール、シロップなどが代表的な加工品です。
加工をすることで見た目やサイズに左右されず、規格外野菜を付加価値のある商品として販売でき、食品ロスの削減や生産者の収益向上にもつながります。
現在ではOEMを活用すれば製造を外注でき、初期コストを抑えてビジネスを始められます。
規格外野菜の有効活用法として、一度検討してみてはいかがでしょうか。
方法3.フードバンクを利用する
フードバンクは、包装の破損や過剰在庫によって流通が難しくなった食品を、食べ物を必要としている施設や困窮世帯に無償で提供する活動のことです。
フードバンクは1967年にアメリカで始まり、日本では2025年3月末時点で300近くの団体が活動しています。
日本では2000年にフードバンクが導入され、その数は増加しているものの、認知度はまだ低いのが現状です。
そのため、企業がフードバンクを活用することは、差別化戦略やブランドイメージの向上に繋がり、社会的責任を果たす手段としても有効だといえます。
方法4.食品以外の製品としてアップサイクルする
規格外野菜を食品以外の製品としてアップサイクルする方法も考えられます。
アップサイクルは廃棄予定のものを新しい製品に作り替えることを指します。
規格外野菜を用いた製品の具体例は以下の通りです。
- 染料
- 化粧品
- クレヨン
- フレグランス製品
- 肥料
- バイオプラスチック
- 紙製品
- ペット用品
一般的な製品と異なり「野菜」を原料にすることでSDGsにもつながることから、競合他社に負けない付加価値をつけることが可能です。
加工食品だけでなく、幅広い製品開発に応用可能なので、販路を広げられるようになります。
規格外野菜の食品ロスを防ぐアイデア事例

では具体的にどのようにして規格外野菜の食品ロスを防げばよいのでしょうか。
規格外野菜はサイズや形状が特殊なため、スーパーや市場には流通させづらく、ビジネスとして成功させるためには工夫が必要です。
ここでは規格外野菜の食品ロスを防ぐアイデアを5つ紹介していきます。
事例1.廃棄寸前のゆず果皮を加工して販売する「土佐山ファクトリー」
高知県の「土佐山ファクトリー」は、これまで廃棄するしかなかったゆず果皮を買い取り、付加価値をつけた製品として加工・販売しています。
具体的には、兼松エンジニアリングが提供する「マイクロ波抽出法」を用いて、以下の3つの製品をつくっています。
- ゆず精油「ニューエッセンシャルオイル」
- 芳香蒸留水「ニューフローラルウォーター」
- 乾燥果皮
マイクロ波抽出法は香りを損なわず成分を効率よく抽出できるため、未利用資源を活かす手法として注目されています。
参考:http://kanematsu-mwextract.jp/
事例2.子どもが安心して利用できる「おやさいクレヨン」
「おやさいクレヨン」はお米と野菜から作られたクレヨンです。
小さなお子様でも安心して使えるように、国産のお米から取れる米油とライスワックス、規格外野菜だけで製造されています。
野菜の色を補う顔料にも、食品の着色で利用される成分だけを配合しているため、万が一口に入れてしまっても安全です。
実際に安全性については、世界で最も厳しい検査とされる欧州規格の「玩具の安全性 EN71-3:2013」をクリアしています。
規格外野菜だからこそできるアイデアで、子ども向けの知育商品として人気を集めています。
事例3.地球に優しい野菜宅配「ロスヘル」
「ロスヘル」は規格外野菜をセットにして定期配送するサービスです。
規格外野菜を取り扱うことで、一般的な食品売り場よりも25%〜30%程度安い価格で提供されています。
また、ロスヘルは宅配サービスなので、日々の買い物での外出の手間や、重い荷物を運ぶ手間が削減可能です。
消費者はロスヘルを利用するだけで、お得に野菜を購入しながら、食品ロス削減に貢献できます。
規格外野菜の「低価格」という特徴を有効活用した事例です。
事例4.京都発の乾燥野菜ブランド「OYAOYA」
京都の乾燥野菜ブランド「OYAOYA」は、京都府北部で採れた規格外野菜を乾燥させ、長期保存が可能な切り干し野菜として販売しています。
商品化を進める中での最大の課題は、「規格外野菜は安い」というイメージに基づく「買い叩き」でした。
そこで創業者は「乾燥野菜」にすることで「保存性」という付加価値を生み出すことに成功します。
ただ規格外野菜を売るのではなく、付加価値を高めることでブランディングに成功した事例です。
事例5.地球に優しい野菜のシート「ベジート」
「ベジート」は規格外野菜をシート状に加工したものです。
材料は規格外野菜と寒天のみで、食品添加物や化学調味料は使用しておらず、アレルゲンフリーです。
シート状に加工されているため、おにぎり、巻き寿司、スープ、スイーツの飾り付けなど、従来では考えられない方法で野菜を取り入れることができます。
今まで廃棄されていた規格外野菜を定価で仕入れることで、食品ロスだけでなく農家の収入支援にも貢献しています。
「OYAOYA」と同様に「べジート」も付加価値をつけることに成功した事例です。
まとめ

規格外野菜は見た目やサイズの問題で流通できず、廃棄されることが多いものの、近年はSDGsの観点から加工やアップサイクルによる活用が進んでいます。
例えば、マイクロ波抽出法を使えば、成分を取り出してフレグランスやリキュールなどに活用可能です。
興味のある方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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