
インターネット通信から位置情報アプリ、さらには電子レンジまで、さまざまな場面で活躍するのが、マイクロ波です。
電磁波の一種であり、他のものにはない特徴をいくつも持っています。
ですが、用語としては知っているけれど、具体的にどのようなものなのか、他の電波とは何が違うのか、詳しくは知らない人も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、この電磁波が持つ特徴と実用例を、簡単に解説します。
マイクロ波とは?

そもそもマイクロ波とは、どのようなものなのでしょうか。
ここでは、他の電磁波との違いと合わせて、簡単に解説していきます。
マイクロ波は電磁波の一種
マイクロ波、またはSHF(Super High Frequency)をひと言で説明すると、電磁波の一種で、マイクロ単位の周波数を持つものを指します。
まず電磁波とは、電界と磁界の相互影響によって生まれる波のことです。
可視光や赤外線、電波、さらには放射線まで、電磁波にはさまざまな種類があります。
その中でマイクロ波は、光と同じ速さで進む波長で、医療や工業など、多くの現場で活用されています。
また、携帯電話での通信やテレビ放送、無線LAN、船舶レーダー、さらに電子レンジなどで使われる波も、ここに含まれているのです。
総務省がホームページで公開している「周波数帯ごとの主な電波の用途と特徴」において、周波数は300MHzから300GHzで、電磁波の中でも電波(3000GHz以下)に分類される波です。
ミリ波との違い
通信技術において、合わせて紹介されるのが「ミリ波」で、ふたつとも電波に分類されるものです。
ミリ波の周波数は30GHzから300GHzで、前者と同じ特徴をいくつも持っています。
その中で違いを挙げると、こちらはマイクロ波に比べて遮蔽物や悪天候に弱いのですが、近距離での通信には適している点が挙げられます。
これは波長が短いことによる違いで、場面によって上手く使い分ける必要があるのです。
そのためミリ波は、近距離での通信として、簡易無線や衝突防止レーダーなどに活用されています。
マイクロ波の特徴

電磁波の一種としてさまざまな場面で活用されるのが、マイクロ波です。
その主な特徴として、ここでは「直進性の高さ」「伝達情報の多さ」について解説します。
直進性が高い
まず、マイクロ波は直進性が高いことが大きな特徴です。
他の電磁波よりも波長が短いため、遮蔽物などの媒質を迂回する「回折」と呼ばれる現象が起こりにくいです。
そのため、長い距離をまっすぐ飛ぶことができる、つまり特定方向へ正確に情報を送ることができます。
この特徴があるため、衛星通信や気象レーダーに活用されているのです。
マイクロ波の直進性の高さにはデメリットもあり、金属からの反射が強い、遮蔽物に弱い、雨や霧などの悪天候に影響されやすいなどがあります。
より多くの情報量を伝達できる
また、マイクロ波は、アマチュア無線などで使用される電波よりも、格段に多くの情報量を伝達できるという特徴もあります。
電磁波には、一般的に周波数が高くなるほど、時間単位に伝達できる情報量が増えるという性質があります。
これは周波数が他の電波と比べて高いためで、通信分野で活用される大きな理由なのです。
マイクロ波の実用例

ここまで、マイクロ波の特徴を解説しました。
では、具体的にどのような用途で利用されているのでしょうか。
ここでは、この周波数帯の実用例として、通信分野と電磁波による加熱技術について見ていきましょう。
通信分野への利用
この電磁波は、直進性が高く、単位時間あたりに伝達できる情報量が多いため、通信分野で広く利用されています。
具体的には、GPSやレーダー、スマートフォンなど、現代の日常生活においてなくてはならないところに、この技術が使われているのです。
とはいえ、マイクロ波の中でも、シーンによって使われる周波数が異なります。
用途別で周波数をみると、携帯電話での通信は800MHz~2GHz、船舶レーダーは3000MHzおよび9000MHz、そしてGPSは1176.45MHz・1227.60 MHz・1575.42 MHzの三種類が使われています。
加熱操作への利用
マイクロ波の有名な実用例として、電子レンジをはじめとする「マイクロ波加熱」があります。
特定の周波数を物体に照射することで物体内の分子を振動させ、その摩擦熱で加熱する技術をマイクロ波加熱と呼びます。
扱うのに大きな装置が必要なく、また短時間で急速に加熱することができるのが最大の特徴です。
身近なところでは電子レンジが、このマイクロ波加熱を用いた装置が挙げられます。
ちなみに、電子レンジで使われる周波数は2.45GHzで、大型の加熱装置になると900MHz程度の周波数帯が使われます。
マイクロ波を用いた精油抽出「マイクロ波抽出装置」

ここまで、マイクロ波の実用例として、通信や加熱装置についてみてきました。
そのほかにも多くの場面で活躍するマイクロ波ですが、エッセンシャルオイルを精製するのにも、大きな力を発揮します。
ここでは、マイクロ波を利用した精油抽出装置である「マイクロ波抽出装置」について、どのような装置なのか、利用するメリットについて解説します。
マイクロ波抽出装置とは
マイクロ波抽出装置は、植物や果物などから、成分を損なわずにオイルを抽出できる機械です。
原料を直接加熱するのではなく、マイクロ波加熱によって低温で成分を抽出するため、熱に弱い香り成分を損なわずに取り出すことができます。
また、電磁波による製法であり、添加物を用いないため、食用にも安心なオイルを作れます。
マイクロ波抽出装置であれば、製品表示にエキスや抽出液の表示ができるというのも利点です。
加えて、この抽出装置はオール電化で運用するため、省エネで環境に優しいという特徴もあります。
マイクロ波抽出装置のメリット
マイクロ波抽出装置を用いることで、「低コスト」「税制優遇」などのメリットが得られます。
まず、この技術を使った抽出装置は、低コストで運用できる点が挙げられます。
一般的にエッセンシャルオイル抽出に用いられるボイラー式水蒸気蒸留装置と比べて、ランニングコストを半分以下にまで削減することが可能です。
そして、マイクロ波抽出装置を導入することで、日本食品機械工業会の証明書を取得でき、税制の優遇措置を受けられるというのも大きなメリットです。
具体的には、この抽出装置を用いることで、「中小企業等経営強化法の経営力向上設備等に係る生産性向上要件証明書」が取得できます。
これは、企業のエネルギー効率や作業効率への取り組みが、一定基準以上であることを証明するもので、取得することによって、経済産業省から税額控除などの補助を受けられます。
参考:https://kanematsu-mwextract.jp/
まとめ

マイクロ波は電磁波の一種で、周波数300MHz~300GHzのものを指します。
この電磁波は直進性が高く単位時間当たりの情報伝達量が多いため、通信分野で活躍します。
具体的には、スマートフォンの通信や無線LAN、船舶レーダー、さらには衛星通信などです。
同じ通信分野で用いられるミリ波の周波数は30GHz~300GHzで、比べてみると波長が短いので、活用場面が限られます。
また、この周波数帯が持つ特徴を応用した加熱操作があり、電子レンジがその代表例です。
この技術を使って、通常の手法よりも低温でエッセンシャルオイルを精製できるのが、「マイクロ波抽出装置」です。
兼松エンジニアリングでは、高機能・低コストのマイクロ波抽出装置を提供しています。
マイクロ波抽出装置の導入を検討している方は、ぜひ兼松エンジニアリングまでご相談ください。
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