
植物の価値を余すことなく活かしたい──そんな想いから、廃棄されるハーブを化粧品原料に活用する動きが広がっています。
ナチュラル志向の高まりや、SDGsが求められる現在、「未利用資源をどう循環させるか」は多くのブランドにとって大きなテーマになっています。
この記事では、廃棄ハーブ活用が注目される理由から、抽出プロセスの課題、そして解決策となるマイクロ波抽出技術まで詳しく解説していきます。
廃棄ハーブを化粧品原料に活用するのになぜ注目が集まっているのか

廃棄されるハーブを化粧品原料として再活用する取り組みが広がっています。
サステナブルなものづくりが求められる昨今、なぜこのテーマが注目を集めているのかを解説します。
食品廃棄の削減が求められている
食品ロス削減は、日本だけでなく世界全体で取り組むべき大きな課題です。
日本では、食べられるのに捨てられる食品「食品ロス」の量が年間464万トンと推計されており、1人当たり毎日おにぎり1個(102g)を捨てていることになります。
その中でもハーブのような植物由来資源は、高い栄養や香り成分を持っているにも関わらず、加工や流通の過程で大量に捨てられてしまうケースが少なくありません。
しかし、これらの「未利用資源」には、ポリフェノールや精油成分など、化粧品原料として有用な成分が多く残っています。
廃棄されていたハーブを再活用することは、食品廃棄を減らすだけでなく、資源を循環させるサステナブルな取り組みとして高く評価されつつあり、化粧品業界でも注目される理由となっています。
ナチュラル・オーガニック化粧品市場の拡大
消費者の間では「より自然なものを使いたい」というニーズが年々強まっています。
防腐剤や合成添加物に対する意識が高まり、植物由来エキスを中心としたナチュラル・オーガニック化粧品を選ぶ人が増えているのです。
株式会社矢野経済研究所の調査によれば、2023年度の国内自然派・オーガニック化粧品市場規模は前年度比103.9%の1,779億円と推計されており、今後もこの流れは続くことが予測されます。
こうした背景から、廃棄ハーブを“新たな植物エキス原料”として活かす企業が増えています。
自然志向の流れと相性が良い点も、廃棄ハーブ活用が化粧品業界で支持される理由のひとつです。
ブランド価値に繋がるストーリー性
現在の化粧品業界では、SDGsが求められており、原料調達から製造プロセス、容器、廃棄まで「どのように環境へ配慮しているか」がブランド評価に大きく影響するようになっています。
その中で、「未利用資源を活かす」という取り組みは非常にわかりやすく、ブランドの姿勢を強く伝えられるアプローチです。
廃棄されるはずだったハーブを有効活用することで、環境負荷を抑えながら新しい価値を生み出せるため、企業側にもストーリーとして語りやすいメリットがあります。
また、こうした取り組みは、単なる環境配慮にとどまらず、「社会や地球に対して誠実である企業」という信頼にもつながります。
商品に付加価値を与えるだけでなく、ブランドそのものの世界観や理念を強く印象づけられる点が、廃棄ハーブ活用が支持される理由といえるでしょう。
抽出プロセスにおける課題

廃棄ハーブを化粧品原料として活かすには、植物に含まれる有用成分をしっかり取り出すことが欠かせません。
しかし、これまで一般的に用いられてきた抽出方法には、それぞれ大きな課題があり、成分の保持や環境配慮の面で限界が指摘されています。
ここでは、従来の抽出方法で生じる問題について解説します。
従来の抽出方法では成分保持が難しい
従来の抽出方法には、それぞれメリットもありますが、ハーブに含まれる繊細な成分をそのまま保つという点では十分とはいえません。
特に、熱や溶媒に弱い香り成分・ポリフェノール類は抽出過程で失われやすく、廃棄ハーブの「本来の価値」を最大限に活かしきれないことがあります。
主な課題としては以下のような点が挙げられます。
- 熱水抽出:高温に晒され、ポリフェノールや香り成分が劣化しやすい
- 溶媒抽出:溶媒残留、安全性、環境負荷の課題
- 蒸留:香り成分に偏り、抗酸化成分など「水溶性 + 熱に弱い成分」が取りにくい
このように、従来法では「成分を壊さず、効率よく取り出す」ことが難しく、サステナブル原料として廃棄ハーブを活用する際のボトルネックとなっています。
そのため、抽出方法の見直しが推奨されているのが現実です。
環境配慮と効率化の両方が求められる
廃棄ハーブを原料として活用する取り組みはサステナブルな視点から高く評価されていますが、その一方で“抽出のプロセス自体”が環境負荷を高めてしまっては本末転倒です。
近年の化粧品業界では、原料そのものの品質だけでなく、どのような方法で抽出し、どれだけ環境に配慮しているかという点がより厳しく問われるようになっています。
従来の抽出方法は、長時間の加熱や大量の溶媒使用が前提となる場合も多く、エネルギー消費やコスト、環境負荷の高さが課題となりがちです。
廃棄ハーブを活用するのであれば、高品質な原料を安定して製造できること、そして環境への影響を最小限に抑えることの両立が不可欠です。
原料の品質・生産性・環境配慮の3つを同時に満たす抽出技術が求められており、これが化粧品原料開発における大きなテーマとなっています。
解決策としてのマイクロ波抽出技術

上述した通り、従来の抽出方法にはさまざまな課題が残っています。
その解決策として注目されているのが「マイクロ波抽出技術」です。
ここでは、「マイクロ波抽出技術」の特長について解説します。
短時間・低ダメージで有用成分を抽出可能
マイクロ波は分子レベルでエネルギーを与えられるため、従来の抽出法と比べて短時間で効率よく成分を取り出すことができます。
従来の抽出方法は高温で加熱することで成分を取り出すため、熱によって香りや色、ポリフェノールが劣化しやすい点が課題でした。
一方マイクロ波抽出では、選択的な加熱が可能で、低温でも十分に成分を抽出できます。
そのため、有用成分の品質を損なわずに取り出せるのが大きな特長です。
これにより、香り・色・熱に弱いポリフェノールなどを保持しやすく、廃棄ハーブが本来持つ価値をそのまま化粧品原料として活かすことができます。
溶媒使用量の削減と品質再現性
マイクロ波抽出は、従来の方法とは異なり、15ml程度の少量の溶媒で済みます。
植物内部の水分やごく少量の溶媒だけで反応を促せるため、環境負荷を大きく減らせるのが大きな強みです。
さらに、温度・出力・時間などの抽出条件を数値で細かく制御できるため、研究段階からスケールアップ時まで品質をそのまま安定させやすいというメリットもあります。
少量サンプルでは良いエキスが取れたのに、量産すると品質が安定しない」という課題は、植物原料の開発ではよく起こります。
しかしマイクロ波抽出なら、この“再現性の壁”をクリアしやすく、理想通りの化粧品づくりが可能です。
参考:http://kanematsu-mwextract.jp/
まとめ

廃棄されるハーブには、香り成分やポリフェノールなど、化粧品原料として価値の高い成分が多く含まれています。
しかし、従来の抽出方法では熱や溶媒の影響で成分が損なわれやすく、資源を有効活用しきれないケースが少なくありませんでした。
その課題を解決する方法として、マイクロ波抽出技術が注目されています。
短時間・低温で成分を抽出できるため、ハーブが本来持つ魅力を余すことなく取り出すことができ、さらに溶媒使用量の削減や品質再現性の高さなど、環境面でも生産面でも大きなメリットがあります。
廃棄ハーブ活用は、資源循環・環境配慮・ブランド価値向上を同時に叶えられる新しいアプローチです。
もしマイクロ波抽出装置の導入や試験をご検討されている場合は、兼松エンジニアリング株式会社にぜひお問い合わせください。
研究段階から量産まで、植物原料づくりを幅広くサポートいたします。
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