
SDGsの取り組みが加速している近年、マイクロ波による誘電加熱が各産業界で注目されています。
特に製造業全体のエネルギーはいまだに化石燃料に依存しており、温室効果ガスの排出量削減は世界共通の重要な課題です。
マイクロ波は、化石燃料を使用する加熱用エネルギーに代わる新たな加熱方法として注目されています。
ここでは、各産業界で実用例が増えているマイクロ波を有効活用したマイクロ波抽出装置について解説します。
マイクロ波による誘電加熱とは?

マイクロ波による誘電加熱とは、高周波電圧を利用した加熱方法のことです。
加熱方法には外部から加熱する誘導加熱と、内部を加熱する誘電加熱が一般的な方法としてあります。
ここでは、一般的な誘電加熱およびマイクロ加熱の原理、さらには誘電加熱の一つである高周波誘電加熱と比較していきます。
誘電加熱とは
誘電加熱は、電磁波を利用して目標とする対象物を加熱する方法で、短波や超短波を利用した誘電加熱と、極超短波やセンチ波を利用した誘電加熱があります。
一般的な加熱方法である、コイルに電流を流して磁界を発生させて得たジュール熱により電気伝導体を加熱する誘導加熱とは異なる方法です。
誘電加熱は、誘導体に高周波電圧をかけ、誘導体の分子を激しく回転させ誘導体自身を発熱させるため、高周波誘電加熱ともいわれています。
マイクロ波加熱とは
300MHzを超える周波数を利用する加熱がマイクロ波加熱で、電子レンジによる食品加熱がよく知られています。
マイクロ波を照射することによって目標とする対象物を加熱する方法で、対象物の内部に直接エネルギーを与えることで、目的とした物質の分子を振動させて温度を上げる仕組みを利用しています。
マイクロ波加熱は、対象物に直接エネルギーを当てる加熱のため、大きな熱源が不要です。
マイクロ波加熱と高周波誘電加熱の違い
高周波誘電加熱よりさらに高い周波数を利用した方法がマイクロ波加熱加熱です。
ここでは、マイクロ波加熱と高周波誘電加熱の違いを以下の通り、解説します。
● 加熱周波数
● 加熱方法
● 加熱可能深さ
● 加熱特性
● 法規制
主な違いは下表の通りです。
電気的特性や目的の対象物により、適した方法を選択する必要があります。

マイクロ波加熱と高周波誘電加熱は、加熱方法や加熱可能な深さ、加熱特性を理解した上で利用することが大切です。
マイクロ波加熱のメリット

マイクロ波加熱は外部加熱に比べ、以下のように5つのメリットがあります。
● 選択的な加熱
● 短時間で均一に加熱
● 高効率の加熱
● 良好な作業性
● 圧力を選ばない加熱
それぞれのメリットを特徴も含めて紹介します。
部分センサー選択加熱ができる
マイクロ波加熱は、異なる材質を接着する場合や特定する物質のみを部分的に加熱する部分センサー選択加熱ができるのが大きな特徴です。
物質の損失係数に合わせたエネルギー量を吸収させることで効率的に加熱できます。
また、不均一に水分を含む加熱物を乾燥する場合も、選択的に加熱できる特徴を利用して、水分の均一化を図ることが可能です。
金属などの導体を加熱する従来の外部加熱方式による全体加熱ではなく、対象物に直接エネルギーを加えることで、選択した物質のみ加熱したい場合に役立ちます。
短時間で均一に加熱できる
マイクロ波加熱は短時間で均一に加熱できるのも大きな特徴です。
外部加熱方式では対象物の熱伝導により熱が内部に伝わり加熱されるため、熱伝導率の小さい対象物の加熱、昇温には多大な時間がかかります。
熱源が大きくなれば加熱や昇温が大幅に促進されますが、内部が均一に昇温しないため、品質に悪影響を及ぼす可能性があります。
マイクロ波加熱は、熱伝導の大小に関わりなく加熱、昇温、乾燥ができるため、短時間で均一に加熱可能です。
エネルギーロスの少ない加熱ができる
マイクロ波加熱は、周囲の環境などを加熱することなく対象物だけを加熱できるため、熱効率が高く、エネルギーロスの少ない加熱方式です。
蒸気や熱風、ヒーターといった熱源を利用した全体加熱は、対象となる物質の熱伝達性によっては不均一な加熱になる可能性があります。
一方マイクロ波加熱は、対象物に合わせ周波数を調整したエネルギーを加えて内部加熱させるため、エネルギーロスが抑えられます。
作業効率が向上する
従来の加熱方式では蒸気や熱水などが発生し、残渣汚れが発生するなど、作業環境の汚染が問題になりました。
汚染した環境を清掃するのに多くの作業が発生するため、加熱プロセスの効率性が悪化します。
マイクロ波加熱はマイクロ波照射による内部加熱を利用するため、周囲の環境を汚染しにくいという特長があります。
清掃作業の負担を軽減できることから、マイクロ波加熱は加熱作業全体の効率を向上させられます。
ただし、マイクロ波発生装置は精密機械のため、工場内の温度や湿度管理など装置が安定して稼働できる環境を整えることが重要です。
減圧下で加熱できる
マイクロ波加熱は減圧下でも対象物を効率的に加熱できる点がメリットです。
従来の方法では減圧下や真空の状態で加熱ができず、熱伝導による加熱に限られたため、加熱処理に時間がかかる点が課題でした。
マイクロ波加熱であれば真空や減圧下でもエネルギー伝達が可能であり、減圧下で低温加熱できるなど幅広い条件で加熱ができます。
ただし、マイクロ波発生装置には加熱可能な下限条件があり、減圧環境での加熱ではプラズマが発生し、装置が故障した事例もあるため、注意が必要です。
マイクロ波加熱を有効利用したマイクロ波抽出装置

マイクロ波加熱を有効利用したマイクロ波抽出装置は、食品や飲料、香料、酒造、薬品素材分野の研究施設などで導入されている先進的な溶媒抽出装置です。
ここでは、マイクロ波による溶媒抽出装置の簡単な原理やメリットを紹介します。
マイクロ波抽出装置に興味がある方は参考にしてください。
マイクロ波抽出装置に興味がある方は参考にしてください。
マイクロ波を利用した溶媒抽出
溶媒から特定の物質のみを分離する操作を溶媒抽出といいます。
マイクロ波を利用した加熱溶媒抽出は、特定の物質や溶媒にエネルギーを直接与えるため、溶媒の加熱促進や拡散スピードの向上につながり、効率的な処理が可能です。
主な使用用途は次の通りです。
● 溶媒と特定物質を含む試料を接触させ、特定する物質のみを溶解させる
● 溶媒中の試料を分離し、特定する物質のみを分離させる
マイクロ波抽出装置により、品質の高い抽出が可能になります。
マイクロ波溶媒抽出のメリット
マイクロ波溶媒抽出のメリットは以下の通りです。
● 抽出効率の向上
● ランニングコストの削減
● 再現性の確保
マイクロ波溶媒抽出は対象の急速な加熱が可能であり、溶媒抽出時間の短縮に寄与します。
溶媒抽出を短時間で進められるため、使用するアルコールの量を抑えられます。
マイクロ波溶媒抽出で用いるアルコールの量を減らしてランニングコストを削減できる点もメリットです。
マイクロ波溶媒抽出は厳密な温度管理ができるため、再現性の確保をしやすいです。
同一条件を保ちながら溶媒抽出を進められるため、処理の再現性に優れています。
兼松エンジニアリングのマイクロ波抽出装置
マイクロ波溶媒抽出のメリットを最大限に生かした兼松エンジニアリング株式会社のマイクロ波抽出装置は、食品や飲料、香料、酒造、薬品などさまざまな分野で導入実績があります。
農産物の新たな需要を創出することで、地域おこしに貢献しています。
同時に、食品ロスの削減と持続可能な資源利用という観点から、現代に求められるSDGsへの貢献も実現しています。
兼松エンジニアリング株式会社のマイクロ波抽出装置は、専門的な知識を必要とせず、面倒な操作もありません。
さらには、税制の優遇措置を受けられる点もメリットです。
製品導入にあたっては、面談による打ち合わせからサンプル試験の実施、見積もり、現地確認、納入時のサポート、アフターサービスまで展開しています。
参考:https://kanematsu-mwextract.jp
まとめ

この記事では、マイクロ波加熱のメリットや抽出装置の原理、使用する際のメリットを紹介しました。
最後にもう一度確認しておきましょう。
● マイクロ波加熱はエネルギーロスの少ない、クリーンな加熱方式である
● マイクロ波抽出装置はさまざまな分野で実用化されている
● マイクロ波抽出装置は専門的な知識や面倒な操作が不要である
各産業で今後さらなる利用が期待されるマイクロ波加熱は、企業にとって付加価値の高い技術です。
兼松エンジニアリングのマイクロ波抽出装置は、省スペース化に加え、省エネ性能の高さから環境負荷低減も期待できます。
自社製品の開発で利用したいとお考えの方は、こちらから詳細をご確認ください。
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