
「形が悪いから」「サイズが小さいから」といった理由で市場に出回らず、廃棄されてしまう規格外野菜。
しかし最近では、こうした不揃いの野菜の「新たな価値」が注目され、食品としてだけでなくバッグやクレヨンなどにアップサイクルされる動きも広がっています。
「規格外=廃棄」という考え方はもう古い?
「もったいない」を減らし、お得に活用する方法はある?
本記事では、規格外野菜の現状や問題点、さらには食品・非食品の分野での活用事例を紹介しながら、持続可能な社会への貢献方法について詳しく解説します。
規格外野菜とは?基礎知識と現状

現在、日本の市場では形や色の整った野菜が求められ、基準に合わないものは「規格外野菜」として扱われて流通に乗りにくいのが現状です。
これらの野菜の多くは味や栄養価に問題がないのにもかかわらず、廃棄されています。
まずは、規格外野菜とは何か、その定義について詳しく見ていきます。
規格外野菜とは?
規格外野菜とは、市場の流通基準(サイズ・形・色などの見た目)を満たさないために、通常の販売ルートに乗らない野菜を指します。
例えば、曲がったキュウリや大きさがバラバラのジャガイモ、少し傷がついたトマトなどが該当します。
しかし、規格外野菜は見た目に問題があるだけで、味や栄養価には全く問題がありません。
実際に、農林水産省も「規格外野菜は品質や安全性に問題があるわけではない」と明言しています。
最近では、規格外野菜を活用する動きが広がり、これが食品ロス削減や環境負荷軽減に貢献しています。
規格外野菜が生まれる原因
規格外野菜は、主に市場やスーパーの品質基準を満たさないために生まれます。
見た目だけの理由で市場に出回らず、廃棄されてしまうのです。
例えば、まっすぐなキュウリや均一な大きさのジャガイモが求められ、少しでも形が悪いと市場に流通しにくくなります。
農林水産省によると、日本では年間約500万トンの食品ロスが発生しており、その多くが規格外野菜です。
さらに、天候の影響に加え、収穫時の扱いによる傷や変色なども規格外となる要因となります。
また、需要を超えて作られた野菜が売れ残り、規格外として処分されるケースもあります。
こうした現状を改善するためには、消費者の意識改革や販売方法の見直しが重要です。
規格外野菜の廃棄量
日本では、規格外野菜を含む食品ロスが年間約500万トン発生しています(農林水産省調べ)。
その内訳を見ると、家庭や飲食店で廃棄されるだけでなく、生産段階で廃棄される量も少なくありません。
例えば、形が悪いという理由だけで出荷されない野菜や、過剰生産による売れ残りが廃棄されています。
特に、大量生産されるキャベツやジャガイモなどの野菜は、規格外品が多く発生しやすいとされています。
近年、食品ロス削減の取り組みとして、規格外野菜を活用するECサイトやフードバンクが注目されていますが、まだ多くの野菜が廃棄されているのが現状です。
規格外野菜の廃棄量を減らすことは、環境負荷の軽減や持続可能な社会の実現にもつながるため、今後の取り組みが重要です。
規格外野菜は活用できる!

見た目だけの理由で廃棄される規格外野菜ですが、味や栄養価に違いはありません。
近年は直売所やECサイトで手軽に購入でき、食品ロス削減にも貢献できます。
ここでは、規格外野菜のメリットや課題について解説します。
規格外野菜のメリット
規格外野菜は、見た目に問題があるだけで味や栄養価は通常の野菜と変わりません。
日本では年間約500万トンの食品ロスが発生しており、その一部を占める規格外野菜を活用することで廃棄量を減らすことができます(農林水産省)。
また、規格外野菜は市場価格より安価で販売されることが多く、直売所やECサイトを利用すればお得に購入できます。
例えば、「ロスヘル」などのオンラインサービスでは、規格外野菜を安価で入手でき、同時に食品ロス削減にも貢献できるのです。
デメリットと対策
規格外野菜は見た目の問題から敬遠されがちですが、スープやカレーに使えば気になりません。
また、不揃いな形で調理しにくい点も、ミキサーを使ったりカットして調理したりすることで解決できます。
流通の課題もありますが、直売所やECサイトの普及による販売機会の増加で改善されつつあります。
規格外野菜の活用方法

規格外野菜は、さまざまな方法で活用することにより食品ロス削減につながります。
販売や加工だけでなく、福祉支援や非食品分野での利用など、その可能性は広がっています。
ここでは、具体的な活用方法を紹介しましょう。
ECサイトや直売所での販売
規格外野菜は、ECサイトや直売所を活用することで、消費者の手に届きやすくなります。
市場に流通しない野菜も、オンライン販売をすれば購入機会が増え、廃棄量の削減につながります。
例えば、規格外野菜の定期便サービス「ロスヘル」は、規格外野菜を農家から直接、しかも通常より安価に購入できるのが魅力です。
直売所も、農家が直接販売することにより適正価格で取引ができるため、活用が進んでいます。
食品加工(ジュース・スープ・乾燥野菜など)
規格外野菜は形や大きさを気にせず活用できる食品加工に適しています。
例えば、ジュースやスープに加工すれば、見た目の問題はなくなり、新たな商品として販売可能です。
乾燥させたりやパウダー状にしたりすることで保存性も向上し、廃棄リスクが減ります。
企業でも規格外野菜を使ったスムージーや冷凍食品の開発が進んでおり、食品ロス削減と収益向上を両立する取り組みが広がっています。
フードバンクや福祉施設への寄付
規格外野菜は、必要とする人々に届けるという方法でも有効活用できるでしょう。
フードバンクでは、企業や農家から提供された規格外野菜を生活困窮者や福祉施設へ配布する活動が行われています。
例えば、「セカンドハーベスト・ジャパン」は、企業や農家と連携し、食料支援を行っています。
こうした取り組みは、食品ロスの削減だけでなく、社会貢献にもつながるため、今後さらに拡大が期待されるでしょう。
非食品分野での活用
規格外野菜は食品以外の分野でも活用されています。
例えば、野菜の色素を利用したクレヨン「おやさいクレヨン」は、食品由来の安全な画材として人気です。
また、廃棄野菜を染料として使い、バッグや衣類を染める「ベジタブルダイ」も注目されています。
このようなアップサイクルの取り組みは、食品ロス削減と新たな価値創出を同時に実現し、環境にも優しいビジネスとして広がりを見せ始めていいます。
規格外野菜を活かしたビジネス事例

食品ロス削減の取り組みが広がる中、規格外野菜を活かしたユニークなビジネスも増えているのです。
食品として活用するだけでなく、新たな価値を生み出す商品やサービスが登場し、環境や社会に貢献しています。
ここでは、注目の事例を紹介します。
おやさいクレヨン
規格外野菜は食品としてだけでなく、画材としても活用されているのをご存じでしょうか 。
「おやさいクレヨン」は、規格外野菜の色素を使って作られたクレヨンで、子供が口に入れても安全な素材を使用しています。
ニンジンやホウレンソウの色素を使った自然な色合いが特徴で、環境にも優しい商品として注目されているのです。
農林水産省によると、日本の食品ロスの約半分は家庭や食品製造過程で発生しており、こうした活用方法は廃棄量の削減につながります。
アイスクリーム「n!ce cream(ナイスクリーム)」
食品ロスを削減しながらおいしさも追求したのが、「n!ce cream(ナイスクリーム)」です。
これは、廃棄される規格外野菜を活用したアイスクリームで、フードロス削減と新たな価値創出を両立しています。
例えば、傷がついたイチゴや形の悪いカボチャを使用し、味や品質を損なうことなく製品化しています。
農家や食品メーカーと連携して食材の無駄を減らし、同時に健康志向の消費者にも支持されているのが特徴です。
JTBの「ロス旅缶」
旅行業界と食品ロス削減を組み合わせたユニークな商品が、JTBが開発した「ロス旅缶」です。
これは、全国の規格外野菜を使用した缶詰で、地域振興と食品ロス削減を同時に実現する商品です。
例えば、北海道の規格外ジャガイモを使ったスープ缶や、九州産の傷のあるトマトを使ったパスタソース缶が販売され、観光地の特産品としても人気を集めていいます。
旅行と食の新たな形態として注目を集めています。
規格外野菜をキャラクターにした「キャラべジ」
規格外野菜のユニークな形を活かし、子供たちに親しみやすくしたのが「キャラべジ」です。
これは、形が変わった野菜をそのままキャラクターに見立て、楽しく紹介するプロジェクトです。
例えば、二股に分かれたニンジンを「カニニンジン」、くねくね曲がったキュウリを「ダンシングキュウリ」と名付け、子供たちが興味を持ちやすいように工夫しています。
教育現場でも活用され、食育の一環として注目されています。
兼松エンジニアリングのマイクロ波抽出装置を活用した高付加価値化

規格外野菜を活かしたビジネスは、食品ロス削減だけでなく、新たな価値を生み出す取り組みとして広がっています。
食品としての活用されるのはもちろん、非食品分野や観光業とも結びつき、多様なビジネスモデルが生まれているのです。
ここでは、ユニークな活用事例を紹介します。
マイクロ波抽出装置とは?
マイクロ波抽出装置とは、マイクロ波のエネルギーを利用して、植物から精油や芳香蒸留水を効率的に抽出する装置です。
従来の蒸留法と比べて短時間で抽出でき、熱による成分の変質も抑えることができるのです。
特に食品加工の現場では、規格外の野菜や果物から有用な成分を取り出し、香料やアロマ製品、化粧品の原料として活用する動きが広がっています。
マイクロ波抽出装置は、食品ロス削減を促進し、持続可能な資源活用を可能にする手段として注目されています。
規格外野菜からの精油抽出
規格外野菜の中には、香り成分を多く含むものがあります。
例えば、柚子やレモン、ミント、ハーブ類は、規格外品であっても香りの質に変わりはありません。
これらの野菜や果物の皮や葉から精油を抽出し、アロマオイルや化粧品の原料として活用することで、新たな価値が生まれます。
特に、柑橘類の精油はリラックス効果が期待でき、香水やスキンケア製品にも使われています。
このように、規格外野菜は食品だけでなく、美容・健康分野でも活躍の場が広がっているのです。
参考:https://kanematsu-mwextract.jp
導入事例:柚子の精油抽出(高知県馬路村)
高知県馬路村では、搾汁後に残る柚子の果皮を活用し、マイクロ波抽出装置を用いて精油を抽出しています。
これにより、廃棄されるはずだった柚子の皮が、高品質なアロマオイルやスキンケア商品に生まれ変わっています。
さらに、この取り組みは地域活性化にもつながっており、地元の特産品として販売されることで、農家の収益向上にも貢献しているのです。
このような事例は、他の地域や作物にも応用できる可能性があり、食品ロス削減と新たなビジネスの創出につながっています。
まとめ

規格外野菜は、見た目に問題があるだけで味や栄養価に問題はなく、食品ロス削減や新たな価値創出につながる重要な資源です。
食品として活用されるだけでなく、アロマ製品やクレヨンなど、非食品分野でも活用の場が広がっています。
持続可能な社会のために、積極的に規格外野菜を活用していきましょう。
規格外野菜の活用ポイント
- 食品ロスを削減できる
- 価格が安く家計に優しい
- ジュースやスープなどに加工可能
- フードバンクで社会貢献ができる
- クレヨンや精油など非食品分野での活用も可能
- 企業が新たなビジネスとして参入中
規格外野菜の可能性は広がり続けています。
マイクロ波抽出装置のお問い合わせは兼松エンジニアリング株式会社へ
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