
マイクロ波装置には、マイクロ波加熱装置や反応装置、電力応用装置など、さまざまな種類があります。
本記事では、マイクロ波装置の基本的な仕組みや特徴に加え、導入時のメリット・デメリットについても詳しく解説します。
マイクロ波装置の基礎知識

マイクロ波装置とは、マイクロ波を利用した加熱や分解、医療などの処理を行うための装置です。
代表的なものに、マイクロ波加熱装置、分解装置、医療用手術装置などがあり、用途に応じて多様なタイプが存在します。
本章では、マイクロ波装置の基礎知識についてご紹介します。
そもそもマイクロ波とは
マイクロ波とは電磁波の一種であり、特定の周波数帯(おおよそ300MHz〜300GHz)に属する電波を指します。
通信、加熱、医療など幅広い分野で活用されており、周波数や波長によって用途や特性が異なるのが特徴。
たとえば、電子レンジでは2.45GHz(2450MHz)のマイクロ波が食品加熱に使用されており、私たちの生活に最も身近な例です。
その他にも、無線通信(スマートフォン、Wi-Fiなど)やテレビ放送、レーダー技術、外科手術用の医療機器などにおいてもマイクロ波が活用されています。
このように、マイクロ波は私たちの暮らしに深く関わる重要な技術です。
周波数と単位
周波数とは、1秒間に波が繰り返される回数を指し、その単位はHz(ヘルツ)で表されます。
たとえば、1Hzは1秒間に1回、1000Hzは1000回の波の繰り返しを意味します。
マイクロ波は、このような周波数特性を持つ電磁波の一種であり、波長や周波数の違いによって用途が分類されます。
マイクロ波の仕組み
マイクロ波は、周波数がおおよそ300MHzから300GHz、波長は1〜10cmの範囲にある電磁波です。
この帯域の電波には、以下のような特徴があります。
- 直進性が高く、安定した伝送が可能
- 特定の方向に指向性を持たせやすい
- 多くの情報を一度に伝達できる
さらに、天候の影響を受けにくいため、衛星通信や放送、レーダー技術などにも広く利用されています。
GPSや船舶レーダー、航空機の通信システムなど、私たちの身近なインフラでも重要な役割を果たしています。
このように、電磁波は用途や周波数帯によって分類されており、マイクロ波はその一つにあたります。
| 放射線 | ・X線(レントゲン撮影などに使用) ・y線(がんの診断や滅菌、農作物の品種改良などに使用) |
| 光 | ・可視光線(虹やLEDの光など、肉眼で確認できる電磁波) ・赤外線(リモコンやヒーターなど、物を温めるために使用) ・紫外線(日焼け、殺菌など) |
| 電波 | ・船舶通信用の長波 ・放送用の中波、短波、超短波 ・電子レンジや携帯電話に使われるマイクロ波、ミリ波など |
マイクロ波装置を導入するメリット

マイクロ波装置には、加熱速度の速さやエネルギー効率の高さ、環境への配慮といった多くの利点があります。
導入する企業にとっては生産性の向上が期待でき、地球環境への負荷低減にもつながる技術です。
この章では、具体的なメリットについて紹介していきます。
短い時間で均等に加熱できる
マイクロ波加熱は、対象物を短時間で効率よく加熱できる技術です。
形状に関係なく内部から発熱するため、温度ムラが少なく、全体を均一に温められます。
また、熱の伝わりにくい物質であっても、加熱や乾燥、昇温が可能です。
加熱効率が高い
マイクロ波加熱は、光に近い速度で物体内部に浸透し、対象物そのものを発熱させる方式です。
加熱する対象以外へのエネルギーのロスが少なく、炉内全体を温める必要がないため、高効率な加熱が可能になります。
効率は照射部の構造や加熱対象の形状・特性によって左右されますが、一般的にはエネルギー変換効率が約70%程度とされています。
マイクロ波装置を導入するデメリット

マイクロ波装置には、加熱の偏りや材質の影響を受けやすいといった課題も存在します。
導入時にはメリットだけでなく、注意点についても理解しておくことが重要です。
異常過熱を起こす場合がある
冷凍食品の解凍などでは、一部にマイクロ波が集中して過熱ムラが生じる場合があります。
これは特定の部位だけが急激に加熱され、他の部分が冷たいままになる現象で、対象物の品質などに影響を与えることもあります。
このような事態を避けるには、間欠的にマイクロ波を照射する、加熱位置を移動させるなどの工夫が必要です。
過熱現象がある
マイクロ波は、尖った形状や端面にエネルギーが集中しやすい性質があります。
そのため、こうした部分に予期せぬ加熱が発生し、不均一な加熱状態となる可能性があることに注意が必要です。
この現象は、雷が避雷針に集まるのと同じく、電界が特定の場所に集中することによって起こります。
産業用のマイクロ波装置などでは、対策として尖った部分にアルミホイルなどでカバーを施す方法が有効です。
ただし、アルミホイルの使用は装置の仕様や加熱条件によって異なります。
家庭用電子レンジでは火花や発火の原因となるため、使用は避けてください。
マイクロ波抽出装置の特徴

マイクロ波抽出装置は、マイクロ波のエネルギーを用いて試料を分解、分離させ目的の成分を効率よく抽出する装置です。
ここからは、マイクロ波抽出装置の特徴について紹介します。
高い抽出品質
マイクロ波抽出装置の特長の一つは、抽出品質の高さにあります。
低温で加熱することで、熱に弱い香気成分を逃がさず、高純度の精油や芳香蒸留水を得ることが可能です。
また、被加熱物の内部を直接加熱できるため、成果物の純度や選択性の向上にもつながります。
食品用途で使用可能
マイクロ波抽出装置は、添加物を使用せず、天然由来の精油や芳香蒸留水を抽出できる装置です。
食品の乾燥や濃縮、芳香成分の抽出にも活用されており、食品用途として幅広い応用が可能。
エキスや抽出液としてそのまま表示できる点も利点の一つです。
また、果汁やペーストの低温濃縮にも対応しています。
低コストで高効率
マイクロ波抽出装置は、低コストかつ高効率な運用が可能な点が特長です。
処理時間の短縮により、溶媒使用量や作業時間の削減にもつながります。
業務の省力化やコスト削減を検討している現場にとって、有力な選択肢といえるでしょう。
環境に優しい
マイクロ波抽出装置は電気をエネルギー源として利用するため、稼働時に直接CO2等を発生させずに抽出処理が可能です。
また、溶媒の使用量を抑えられることに加え、処理時間の短縮によって省エネルギー化にも貢献します。
これらの特長により、環境負荷の少ない抽出手法として注目されています。
参考:http://kanematsu-mwextract.jp
まとめ

マイクロ波装置は、加熱、分解、抽出、通信など多岐にわたる用途に対応できる技術です。
用途に応じて装置を選定することで、効率的かつ環境負荷の少ないプロセスが実現可能となります。
特に、精油や芳香蒸留水の抽出には、マイクロ波抽出装置が低温・高効率での処理に適しており、品質面でも優れた成果が期待できます。
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